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(観劇日記)NODA・MAP 『エッグ』を観てきました

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ひさびさの観劇日記です。
3月31日に、NODA・MAP(野田地図)、の『エッグ』を観に行きました。

野田秀樹 作・演出の舞台を生で観るのは、大学生の時以来、久々です。
だってなかなか大阪に来てくれないし、チケット取れないし><
だから今回の全国公演を、半年前から、わくわくして待っていました。
今回の『エッグ』は、再演ですが、キャストは初演の時と同じ、豪華メンバーです。


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妻夫木聡・深津絵里・仲村トオル・秋山菜津子・大倉孝二・藤井隆・野田秀樹

力のある魅力的な俳優さんぞろいです。
何より、野田さんがまだ現役で舞台に立たれているのが、泣けるほど嬉しかったです。

今回の劇場は、大阪城公園の側の、シアターBRAVAでした。

ブラバ2

すぐ近くに、大阪城があるんです。
この日は桜も満開で、桜を愛でながら劇場に入りました。

野田さんの舞台といえば、とにかく「難解だ」、というのがよく言われていたんですが、それは、「良さを人に説明するのが難しい」ということでもありました。
「もう、すごいの」 「言葉がね、セリフがね、別の世界の生き物のようにサラサラ、キラキラしてて」 「描かれる世界はきれいすぎて、時に怖いんだけど、見終わった後は、夢から覚めた時のように余韻に酔いしれてるの」
……とか、必死で説明したって、聞いてる方はポカン…なんですよね。
彼の舞台はストーリーを追うというよりも、感性で感じ取る演劇なのだと、若いころは思っていました。
けれどこの舞台は野田さんの良さを残しつつ、観客の傍まで降りてきた、とても秀逸なエンターテイメント作品でした。

架空のスポーツ種目「エッグ」に情熱を注ぎ、オリンピックに向けてトレーニングするアスリートたち。
そんな彼らに恋し、歌い、踊り、癒すシンガーソングライター。
躍動感あふれるスポーツと音楽に酔いしれ、熱狂する観衆。
ところで、
彼らが目指す東京オリンピックとは、いつの時代?
2020年の、未来の東京オリンピック? それとも、1964年の東京オリンピック? それとも・・・・・。
これはいったいいつの時代の物語?  そして本当にここは、日本なの?
そして・・・・・・・「エッグ」って、いったい、・・・・・何? そんなスポーツ、ないのに・・・
真実は恐ろしい歴史の闇の中に隠されていました。
廃墟で見つかった寺山修二の未発表の書物には、何が書かれていた?

コミカルに進んできた物語は、轟音とともにショッキングな展開へ……。そして思いもよらない結末が。

↓30秒スポット貼っておきますね。舞台の片鱗が見えるはずです。




【キャスト】ピックアップ

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自由奔放な新人アスリート・阿倍比羅夫(ひらふ)役---- 妻夫木聡。
無心に目標に突き進む、元気いっぱいの青年が、はまり役でした。
でもその分、自分がまきこまれた運命の悲しみに押しつぶされた時の対比が、物悲しくて。
幅の広い役を演じられる、大好きな役者さんです。

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人気シンガーソングライター・苺イチエ役 ---- 深津絵里。
力のある名女優だとは思っていたのですが、こんなに歌がうまいとは!!
本作の音楽監督は、あの椎名林檎で、舞台のために書き下ろされた歌をいくつも歌って行くのですが、その声は澄み切っていてまるで天使のようで。
「彼女は聡い。だから美しい。男でも女でもない。だから色っぽい。大人でも子供でもない。だから危うい。いつも新しい。だから透き徹っている」と、椎名林檎を唸らせた、深津絵里に、惚れ直しました。

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“エッグ”日本代表の精神的支柱であるストイックなベテランアスリート・粒来(つぶらい)幸吉 ---- 仲村トオル。
この人の存在感は、ぴか一でした。
がたいの大きさだけでなく、立ち姿、響き渡る低音の聞き取りやすい声。視線の送り方。
全てがオーラを発している。TVだけではもったいない。舞台で、さらに力量を発揮する、名俳優だと感じました。

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狂言回しとして物語を怒濤の展開へと誘う、劇場案内係/芸術監督 役---- 野田秀樹。
ああ、野田さんは、今もやっぱり野田さんだ。歳月を感じさせず、最高のストーリーテラーとして、観客を物語へ引き込んでくれる。
性別も年齢もない、あのハスキーな声と言葉。唯一無二です。


この大阪公演の直前に『エッグ』は、パリの国際シャイヨー劇場で、公演を終えて来たばかりだったそうです。
『エッグ』の初演を観たシャイヨー劇場の総監督に熱烈オファーをもらい、そして1週間の公演で、パリの観客の心を掴み、熱狂を生み、大成功で凱旋してきました。
日本の演劇が、あのちょっと芸術にはうるさいフランスの演劇人に認められたのは、すごく嬉しいです。

躍動するリズム感、ダンサーたちのストイックなまでな肉体の美しさ、心を掴む演出、繊細な感性が描き出す、余韻。
今回も存分に楽しむことができました。
究極のエンターテイメントをありがとう、NODA・MAPのみなさん。



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~ Comment ~

NoTitle 

おおー、妻夫木聡や深津絵里、仲村トオルと本当に出演者も豪華ですね♪
普段はテレビの中でしか見れない俳優さん達ですが、
こういう観劇で生でその演技を見られるのは貴重ですね~。
それにしても、「エッグ」とは本当にどんなスポーツなのか、
そこが気になりますね(`・ω・´)
架空のスポーツだからこそ、色々と想像も膨らみそうですね~。

こんばんは 

舞台、楽しまれたようですね(*^_^*)
そうかぁ、なんか不思議な物語のようですが、舞台の物語って映画以上に内容が突飛なものが多いような気がします。ちょっと大仰で「そんな馬鹿な……」なんだけれど、いつの間にか不可思議な世界に引き込まれているんですよね。すごい昔(多分高校生の時)、初めて『熱海殺人事件』を観た時、はぁ、こういう世界(どういう世界? 言葉では表しにくいですね)なのかぁとしみじみ思ったことを思いだしました。一応、昔、演劇部でした^^;
役者さんもゴージャスでしたね。私も深津絵里さん、好きです。歌われるとは知りませんでした。テレビで見るよりずっとかっこいい役者さんもいっぱいいますよね。テレビでもかっこいいんだけれど、舞台の方が断然かっこいい役者さんも。古い話ですが、初めて田村正和さんの舞台を見た時思いました。恐ろしくかっこいい(板妻~?)、私は今まで間違った正和さまを見ていたわ、と。あ、私ったら、どこかの時点で古典に走ってしまって、現代の芝居をあまり見ていないことに気が付きました^^;
次はNACSですね。楽しみ楽しみ~~~

ツバサさんへ 

おはようございます。
はい、野田さんのプロデュース公演は、毎回選りすぐりの役者さんたちが揃うので、それも楽しみなんです。
宮沢えりとか松たか子も、よく客演されています。
やはり、TVで見るのとはまるで違いますね。
力のある役者さんは、舞台で更に輝きを増すし、そうでない役者さんは、すぐに分かってしまうので、なかなか厳しい世界です。

エッグって、ネタバレになるけど、スポーツじゃないんです。
実は歴史的悲劇を模した、怖い暗殺計画・・・。
歴史の影で騙され、踊らされる民衆の悲劇が、ひっそりと映し出されているんです。
ラスト近くの演出は、怖かった~~><

大海彩洋 さんへ 

おはようございます。
DVDでは近年の野田さんの作品はよく見ていたんですが、生は本当に久々で、やっぱり他の劇団とはまったく違うなと感じました。
でも、昔ほど難解ではなくて、スッと理解できたのがうれしかった^^
確かに前半は、いったいこの物語はなんなんだろう・・・と思ってみていましたが、それでも洗練されたショーのようで、一瞬も退屈しないんです。ずっと目を見開いてみていました。
野田さんの作品は、萩尾望都や、文学作品を主体に書かれていたものが多かったんですが、今回は完全オリジナル。
根底には、過去の忌まわしい戦争や虐殺、暗殺の歴史が土台になっていて、ラスト近くの演出は、本当に恐ろしかったです>< でも、すごかった!

あ、「熱海殺人事件」は、つかさんの脚本でしたよね。私も別の劇団が演じるのを観た記憶があります。でも、内容は忘れてしまいました。
舞台って、観たことのない人にその面白さを伝えるのが難しいですよね。
下手に、最初に難解な作品を見せてしまうと、二度と見てくれないし(笑)
大海さんも演劇部だったんですよね。だからきっと、観る方だけじゃなく、演じる側の感覚も、ご存知なんだろうなあ。
田村正和さんは、きっと舞台で見るとカッコいいんだろうなあ^^
あれって、本当に分からないもんですよね。
TVで見栄えがしても、舞台では輝かない人も多くて。
私の好きな戸次さんも、TVではあまり輝かないんだなあ…涙。でも、舞台ではパワーがみなぎって目を引く。
舞台役者は、やっぱり舞台でこそ生きるんですよね。
ああ~、私は逆に、まったく古典の方には足が向かなかったです。そちらに流れるかどうかも、ほんのちょっとしたきっかけの違いなんでしょうね。

はい!NACSの先行チケット、取れました^^ 7月にいきます!! 大海さんもぜひ観に行ってください^^

でもその前に、また来週舞台を観に行きます。
なんと、中井貴一さんと、戸次シゲちゃんが共演の、とても素敵な舞台!
今からわくわくしています^^

NoTitle 

いいなあ。素敵ですねえ。
舞台もそうですが、みんなで作り上げるたったの一つのものって良いですよね。
その一つに自分も貢献できるのって、本当に喜びで。
その喜びの中に成功があるのかもしれないと思うと、本当に素敵です。

ご紹介されたから、私も行こう、という展開にはならない私の視点は、limeさんのレビューです^^ (自称limeのレビューファン復活ぅ^^)

エッグ? limeさん、何を観てきたの?
の答えがここに。ですね。
感じ取る演劇。セリフやその他と共に。ですね。
舞台は気に取り囲まれていますから、そこから感じるものがテレビやDVDとは全然違うのでしょうね。
やっぱ、生、良いよね。いや、映画も良いけど、感じ方が違うんだよね。

州都のメルボルンに素敵な劇場があって、時々同僚が行ってくると足を伸ばすのを見送るばかりです。
一回くらいは劇場見学を兼ねて行っても良いのですけれど・・・(てんてんてん)
いつかね(-_-;)

けいさんへ 

こんばんは~。

よかった^^舞台のレビューでもけいさんが楽しんでくださって。
最近めっきり読書レビューがなくなっちゃって、申し訳なかったっす。
なんか、なかなか読む時間がなくて(資料ばっかり読んでて)

舞台って、そうなんですよ。役者だけじゃなくて、スタッフや観客皆でその芸術作品を作っていくってところが、すごいですよね。
生です。
一回こっきりですもんね。

そうそう、あの野田さんがすっかりごっそりセリフを飛ばしちゃって、「僕セリフ飛ばしちゃったけども」とか言い出して、橋爪さんがアドリブで「いや飛んでなんかいない!絶対飛んでない」とかバレバレの嘘をついて、観客爆笑。めったにない野田さんのミスも、すごく楽しくて、やっぱり一回こっきりだなあ~と、^^

いや、いいんですよ、舞台って本当に最初はとっつきにくいし、私だって学生の頃、ぶらっと京大の学際で生瀬勝久さんの舞台を観なかったら、芝居の世界を知らずにいたし。
けいさんには、私のレビューで、「へ~、こんな芝居馬鹿も居るんだ」とか思って、楽しんで頂ければ^^

来週も、芝居を観てまいります。私の大好きな役者さんの舞台なので、楽しみです^^

NoTitle 

limeさんの観劇の解説と感想、とても面白いし解りやすいです。
ひきこまれました。

マダム猫柳さんへ 

マダム、いらっしゃい。
そう言っていただけると凄くうれしいです^^
舞台の感想って、言葉ではなかなか伝えられなくって。
読んでくださって、ありがとう~♪

アツい!!アツいですぞ!!! 

うわーーーー!!!
めっちゃ面白そうだーーー!!!
観に行きたい~~~o(≧Д≦)o
すごい!!すごい熱量ですね!!!!!
これはもう愛!!
こんなにアツく語られちゃったら
もう誰もが観に行きたくなっちゃうじゃないですか?!!
limeさんたら、
チケット取るの大変だったって仰ってたのに
更にチケット争奪のライバル増えちゃいますよお?!!!!!

演じられるメンバーのみなさんも超豪華だし
お話も本当に面白そう!!!
ああ!!エッグの正体がめっちゃ知りたい!!!

良いなあ~~
良いなあ~~・・・・・・・

かじぺたさんへ 

かじぺたさんも、熱いコメありがとう~~。
面白そうな感じ、伝わりましたか!!
実際ね、前半はもう、楽しくて面白くて、まるでショーを見ているような感じで惹きつけられたんですが、
後半、そのエッグの正体がわかり始めたあたりから、めちゃくちゃ恐ろしくなって。
日本の歴史の中に、実はもう一つ、誰も知らない幻の東京オリンピックが有って・・・。
どんどん時代を遡っていく感覚がまた、劇場ごとタイムマシンに乗せられてるような感覚があって、怖かった~。
エッグの正体は・・・見るまで秘密です^^

お芝居ってやっぱり楽しいなあ。
今までは、長男がずっとお芝居観に行くのに付き合ってくれてたんです。
ひとりで観に行くのもいいけど、やっぱり感激を分かち合う人がほしいですし^^
小学生の頃から高校まで、嫌がらずに付き合ってくれてたんです。
これからはひとりだなあと思っていたら、今度は娘が芝居に興味を持ち始めて、「一緒に行く」と。
不思議なもんです^^

来週も一本、お芝居観に行ってきます。楽しみだなあ~。

NoTitle 

・・・豪華キャストですねえ。
やはりもっと私も映画を見に行くべきなのだろうか。。。
けど、映画を見ると創作意欲が湧きますよね。
モチベーションアップ!!します。
こういう感想見るのも大好きなので、勉強になります。
ありがとうございます(*'ω'*)

LandM さんへ 

はい、とても豪華キャストだったので、わくわくしました。
あ、これは映画ではなくて、舞台なんです。
映画はDVDで何度でも見れるけど、舞台は生で、一回きりの演技です。
躍動感がじかに伝わる舞台は、本当にすばらしいです。

拍手鍵コメNさんへ 

おはようございます。
そうなんです、舞台って、生ものですし、観た人それぞれに感じるものが違うと思うんです。
感想とかも、難しいですね。
これなんか特に、ネタバレしちゃいそうになって、・・・。

またNさんも帰国に合わせてゆっくりお芝居観てくださいね。
日本の演劇界、まだまだ熱いです^^
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