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(雑記)やっぱり間違いなかった『魔性の子』

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久々に、読み終わったあと「ああー、面白かった!」と思える本に出会いました。

実はこの本、半年前、書店で何気なく手に取り、最初の数ページの描写力に一目ぼれして、買おうかどうしようか迷ったのですが、十二国記という大長編ファンタジーの中の一冊だったため、ちょっと手が出せませんでした。
その背景を知っておかないと、理解できないんだろうと思って。

けれど数日前、アマゾンでちらっと見かけ、やっぱり無性に気になって、買ってみたのです。
正解です。
最初の数ページを読んで惹きつけられた小説は、今までの経験から絶対裏切りません。
そこに、作者の描写力、自分との相性、そして、作者がどんなふうな世界へ誘おうとしているのかが、ばっちり見えて来るような気がするのです。

この作者の織り成す世界は、何の障害もなくスっと心に入り込み、鮮やかな映像を脳裏に描き出してくれます。
長編ホラーファンタジーの、序章にあたるこの『魔性の子』。
これは、上質なエンターテイメントであると同時に、人間の心の物語だなあと感じるのです。





【内容説明】
どこにも、僕のいる場所はない──教育実習のため母校に戻った広瀬は、高里という生徒が気に掛かる。周囲に馴染まぬ姿が過ぎし日の自分に重なった。彼を虐(いじ)めた者が不慮の事故に遭うため、「高里は祟(たた)る」と恐れられていたが、彼を取り巻く謎は、“神隠し”を体験したことに関わっているのか。広瀬が庇おうとするなか、更なる惨劇が。心に潜む暗部が繙(ひもと)かれる、「十二国記」戦慄の序章。



嬉しいことに、これが序章でした。
まっさらな気持ちで読めます^^

とにかく、情景描写、心理描写の一つ一つが秀逸です。クセがなく、さらっとしているのに、響く感じで。
「いじめると祟る」と言われる、謎だらけの高里少年も、言葉、表情が極端に少ないにもかかわらず、なんとも良い味わいを出してくれています。
なぜか執拗に彼をかばって守る広瀬にも、不自然さが感じられない。
静かに、不気味に進行していく怪奇な「祟り」に、どんどん興味を惹きつけられていきます。

次々に厄が大きくなり、善人もそうでない人も、どんどん死んでいく。
エスカレートしすぎて、「どうする気?」と、読者が慌てても、物語には、ちゃんと安心感があるのです。
こういうホラー系の物語を読んでいると、途中で、「それアリなの?」という疑問がピコンと立ってくるのですが、本作には、その不信感が湧いてこない。
「最後まで委ねてみよう」。そう思うのです。

小説を読むというのは、作者への信頼関係なのかな、と、時々思います。
早い段階で、私はこの作者にピッと来てしまいました。
やはり、前半の描写の巧さへの一目惚れ・・・なんでしょうね^^
ど真ん中なのです。センスがいいのです。

物語は終盤、収拾のできないほどの大惨事へと発展していきます。
それでも少年は、自分の正体がわからないままだし。
報復は見境無いし、死者は増える一方だし・・・。
おーい、どうすんの?
残りページ数が、あと少しですよ。このあと、どうやって終わらせるの??

でも、そんな心配は無用でした。
ラストは、思いがけない方向で、読むものを「ハッ」とさせます。

ああ、やられた。そういう方向で締めるとは。
ファンタジーを前面に掲げているけれど、実は・・・。 そうなのか。

読み終わったあと、久々に胸が熱くなり、満足感と、少しばかりの寂しさと悲しみがじわ~っと満ちて来ました。

序章ということで、そんなにハイファンタジーにならなかったことも、ちょっと嬉しかったです。
そのかわり、とてつもない壮大な世界が、この裏に広がっているのだろうという予感だけは、びんびん感じさせてくれる終わり方でした。

どんなジャンルであっても、力のある作家さんの文章は、本当に満足させてくれます。
ストーリー展開もそうですが、巧みな描写力や文章運びで引きつけてくれる作家さんに、私はコロッと惚れてしまいます。

このあと、続編もじわじわ読んでいこうと思うのですが、多分私は、この序章、『魔性の子』が、やっぱり一番好きなんじゃないかな、と思うのです^^


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~ Comment ~

NoTitle 

十二国記の世界へようこそー。
わたしは逆でホワイトハート文庫から出ている分を全部読んでから「魔性の子」を読んだのですが、それでも楽しめましたよ~(^^)
十二国記を全部(っていってもまだ途中ですが)読むとまたきっと「魔性の子」が読みたくなるかも(^^)

igaigaさんへ 

igaigaさん、いろいろ教えてくださって、ありがとうございました^^
「魔性の子」が、最初に執筆されたと聞いて、なんだか嬉しかったです。(なんでかな)

今日、アマゾンから「風の海 迷宮の岸」が届きました^^
これは泰麒が、いくつの時の物語かな?(最初に連れてこられたときの?)
楽しみに読みます。

文庫版の表紙、素敵ですね~~。イラストにも惚れちゃいました!

NoTitle 

「十二国記」は出ている分を全部(たぶん)読んだのですが、「魔性の子」は読んでいませんでした。不覚。
「十二国記」に高里君が出てくるんですよ~。
彼、色々と大変なんすからあ!
limeさん好みの子だよね~。

しのぶもじずりさんへ 

十二国記って、かなり有名で、もう15年くらい前から書き始められてるんですね。

私は、あまりファンタジーを読んだことがなかったので全く知りませんでした。
いいですねえ~~、この方。

「魔性の子」は、ほとんどが現実世界の物語だったため、ファンタジー初心者の私でも、すっと入っていけました。そうそう、高里くんが、もう、気になって気になって。
ぜひ、ぜひ、しのぶもじずりさんも「魔性の子」読んでください!(急にえらそうだ)

そしてさっそく、この続編にあたる「風の海 迷宮の岸」を今日手に入れました。
表紙の泰麒とサンシが、かわいい^^
彼、大変なんですね><頑張れ。
とにかく、泰麒が出てくるのは読んでみようと思います(読み方が乱暴だ・・・)

NoTitle 

読みたい・・読みたいけど、やっと台本のたたき台が出来たところなので、さっさと台本作業に移らないと・・・
でも読んじゃおっかなぁww

NoTitle 

おはよう御座います。
魔性の子ですかーーー この作品 十二国記読むと イメージ変わりますよ。
全ての伏線が解かれる感覚。
今 十二国記フェアーですもので 新作も出るらしいし 楽しみ。
あの 山田章博さんのイラストも中々 いい雰囲気です。
NHK のアニメも まぁまぁ いい出来でしたよ 中々 怪しげで。
  

kaziさんへ 

いよいよ、次の台本が上がってきたのですね。
これからまた、忙しくなりますね。

でも、読んじゃいましょうか(笑

これは、一日ちょっとずつ読むだけでも、脳内がリフレッシュされていいですよ~。
ホラーなのに、なんだかいい具合に現実逃避できて、楽しいです。ワクワクします。

私、けっこう小説の好き嫌いが激しいのですが、これはど真ん中でした。
小学生以来、初めて読んだファンタジーでした^^。

ウゾさんへ 

ウゾさんも、十二国記、読まれてるんですね!
私、ファンタジーはほとんど読んだことがないので、名前すら知りませんでした。

十二国記を読む前に、この「魔性の子」を読むか、シリーズを読んだあとで読むかによって、印象が違うのでしょうね。
まっさらな気持ちで読んだ本作は、めちゃくちゃ新鮮で面白かったです^^
つぎは、泰麒を中心に、シリーズを読みたいと思います。(順番が今ひとつわからないんですが^^)

山田章博さんのイラスト、いいですよね!最高です。
アニメにもなってなってたんですね。
でも、やっぱり最初は小説で脳内再生したいなあと、思います^^
とにかく、文章が魅力的ですから。

NoTitle 

小野不由美氏の「十二国記」は一冊チラ読みしてみたけれど、わたしの好みではありませんでした。

うぬぬ。「東亰異聞」はあれほど面白かったのになあ。うぬぬぬ。

NoTitle 

そうですよね。最初の数ページで誘われて、どどっと進んで、キャー寝なきゃ、のパターン。
ノンストップで最後まで読めれば良いのに、ですかね。

文章や描写でその物語の場面や、心の中にもぐりこんでしまうような感覚が好きです。
そういうのを読みたいし、描きたいですね。希望です(--;)

ポール・ブリッツさんへ 

「魔性の子」は、十二国記というより、現代ホラーサスペンスのような感じなので、また印象が違うと思います。

十二国記、明日から読み始めます。
ファンタジーって、先ずは頭を切り替えてから望まないといけませんね。
感覚を掴むまでに、少し時間がかかるかもしれません。
こちらはたぶん、女性が好むファンタジーなのでしょうね。
でも、やはり描写力は、半端ないです、この方。。

だから、この著者のホラーはたぶん、怖くて読めないと思います・・・。

けいさんへ 

本当に引き込まれる小説って、なかなか出会えないんですよね。
私、年に一冊、あるかないか・・・なんです。

でも、今回出会えて良かった^^
ファンタジーはたぶん、自分に向かないと思ってたんですが、この作品だけは別だったみたいです。
いいですよ~。「魔性の子」は。お勧めです。

最初の数ページで、ぐっと掴まれてしまいました。描写力が最高にセンスいいのです。

私、じつは最初の50ページ程読んで、好きになれなかった作品は、そこで「ごめんなさい」してしまうのです。
どんなにベストセラーでも、文章の書き方が自分の感覚に合わないと、読んでいて辛いので><

いやあ、久々に、惚れ込む文体に出会いました。
そしてもちろん内容も。
「面白いって、こういうことだな!」と、納得できました。
ラッキーです^^

NoTitle 

よくファンタジーは分からないんですが(汗)
ホラー好きなんでアマゾンで取り寄せてみようかなあ……

晩冬さんへ 

私も、ファンタジーは小学生の頃に読んだきりで。大人になってからは全くです。
読む才能がなかったんでしょうね。
あ、伊坂さんの「オーデュボンの祈り」、あれは面白かったです。
(そういえばNo.6も。ファンタジーだっかたな?)その二つくらいか・・・。

いきなりハイファンタジーはきついのですが、この作品は、現代ホラーと言ってもいい感じで、とても入っていきやすいです。
そして何より、面白い!
センスがいい。
この序章だけでも、是非読んでみてください。

NoTitle 

こんにちはw

小野不由美さんの小説は良いですよね。私も読見始めると、引き込まれてしまいます。
『十二国記』は現在攻略中で、『魔性の子』を含め、3冊くらい読んだところです。面白いし、読んでて実力あるなー、とため息ついてしまいます。
ちなみに、ミステリー作家の綾辻行人さんとご夫婦なんですよね。

他に、代表的な作品として、『屍鬼』というのがあって、とっても好きです。読みは「しき」です。
恐ろしげなタイトルですが、内容もズバリ、ホラーですww
文庫で全5巻くらいだったでしょうか・・・こちらも機会がありましたら、是非w

ゆーきさんへ 

ゆーきさんも、読まれてたんですね。小野不由美さん。

私はホラーもファンタジーもほとんど読まないので、全く知りませんでした。
私にとっての、初ファンタジーです。

>ちなみに、ミステリー作家の綾辻行人さんとご夫婦なんですよね。

えええ!!そうなんですか?
知らなかった!
ホラー作家どうしで、夫婦・・・。すごい。すごすごます。
冨樫義博と武内直子さん夫婦くらい、びっくり。

それにしてもいいですね、この方の筆致。ものすごく引き込まれます。
今、「風の海 迷宮の岸」を読んでいますが、麒麟が可愛くて仕方ないです^^
この優れた描写力でホラーを書かれたら、どんなに怖いか・・・。

『屍鬼』、読んでみたいけど、ものすごく怖がりなもので、ちょっと悩んでしまいます><

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鍵コメHさんへ 

Hさん、こんばんは^^
そうか、月始めですね。(Hさんの時期w)

今回も、楽しいコメントありがとうございます!鍵コメなのがもったいないくらい、おもしろい~。
私も、こう言う感じで本とめぐり合うのは珍しいのです。
なにしろ、書店に行くことが、めっきり少なくなりましたから。
アマゾンに入り浸りで^^;

でも、たまにはいいですね。書店。
なにかいい出会いがありそうで。

わかりました。その「小説を読むというのは・・・」のフレーズは、Hさんにレンタルしましょう(笑)
でも、本当にそうですよね。
私など、とてもうたぐり深い人間なので、最後まで読みきれない本が、たくさんあります。
(うたぐりぶかくても、訪問販売にはよく引っかかりますが)
信頼できる作者に、たくさん出会いたいですよね><
私も気に入った小説家の本ばかり読んでいる口です。

「Q」は、観に行こうと思いつつ、ついには行けませんでした。
DVD待ちです。
なるほど、今回も庵野監督は難解に終わらせましたか。さもありなん。
でも、あれに関してはもう、宇宙の謎と同じように見たほうが、楽かもしれませんね。
ただ・・・。新キャラの女の子を増やして欲しくないなあとか、そんな願いはあります・爆

小説も映画も、ラストの爽快感と余韻は大事ですよね。
最高の気分の中で流れるエンドロール。
あの時間がたまりません。^^

拍手鍵コメNさんへ 

お、Nさんもやっぱり十二国記はご存知だったのですね。
そんなに有名なシリーズだったとは。
ファンも多いはずです。

こういうハイファンタジーは初めてだったのですが、とっかかりが「魔性の子」だったために、とても入りやすかったです。
人物の書き分け、心理描写、落としどころが秀逸ですね。
ちょっと、どっぷりはまりそうで怖いです^^
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