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(雑記)『ソー・ザップ!』稲見一良

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次に読む本が決まらなかったので、私の〈嗜好〉を良くご存じなポール・ブリッツさんに相談したところ、
薦めてくださったのが、稲見一良先生の『ソー・ザップ!』。


ソー・ザップ! (角川文庫)ソー・ザップ! (角川文庫)
(1993/06)
稲見 一良

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【あらすじ】
人を撃てる、こんな機会を誰が断わるか―。「パブ・パピヨン」の広い店内で、自分の命に三千万円もの賞金をかけたレッドムーン・シバと名乗る謎の男。挑戦をうけたのは、素手の格闘では無敵の元レスラーのベアキル、手裏剣と小太刀の名人ハヤ、大型獣のハンターのブル、元警察官の金久木。そして、五人の男は、舞台として指定されたK山脈系の山野に分け入り、最も危険なゲーム“マンハント”がはじまった。男の散りぎわのダンディズム、武器への思い…。男の中の眠るものがうっすらと目をあける。



それぞれに武力に長けた4人の男に、「命を掛けた真剣勝負をしよう」と、近づいてきた男が一人。
つまりは殺し合いです。
バトルロワイヤル的な無意味な殺し合いが嫌いな私は、「え~、そんな物語?」と、一瞬思いましたが、
なぜかその文体が肌に会い、読み進めて行きました。

そしたらですよ。
サバイバルを続け、獲った獲物で食いつなぎ、命を奪い合うというその物語に、いつの間にか引き込まれている自分が居ました。

そこに書かれている大自然や、狩られる生き物は絵空事でなく、しっかりと心臓を動かし、体温と獣臭を発し、生きていました。

4人を追ってくるレッドという男から身を隠しながら、ベアキル、ハヤ、ブル、金久木は、生きるために水鳥やウサギを狩り、サバイバルの基本にのっとった方法で捕食していきます。

そこには、狩られる生き物への愛情、感謝、礼儀というものが、ちゃんと存在していました。
「なんだか、少し可哀想ですね」と、死んだ野ウサギを見て呟くハヤに、「そう思う気持ちが大事なんだ」というブル。
猟の掟を知らず、牝鹿と小鹿を撃ち殺した金久木に、「今度やったらお前を殺してやる」とすごんだブル。

しっかりと捕食しながらも生き物への崇拝を忘れない彼らのサバイバルを見ているうちに、もしかしたらここでは、人間の命よりも、鳥、獣、虫たちの命の方を重んじているのでは?・・・と、思わずに居られません。

何しろ、この人間同士のバトルはまったく非情で容赦ありません。
人間の死だから慎重に描くとか、ありませんから^^;

う~~ん。潔い!

読後感は、爽快とは言えないんですが、とにかく楽しませてもらいました。
鳥好きの私は、とくに。
ここに出てくる鳥たちは、私にはすべて頭に入っていましたし、その美しい描写は本当に息を飲むほど。

生きている美しい獣。そして死んでしまってただの肉塊になった獣。その対比にも、命というものの不思議を感じさせてくれます。

そうそう、蛇足ですが、4人の男の中に、一人とても美しくりりしい少年がいます。
この子がまた、いいんです^^
彼が生き残るかどうかは・・・ここでは言えませんが。

さて・・・また悩む。次は何を読もう・・・。
乱読できない性格って、めんどくさいです。



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~ Comment ~

NoTitle 

鳥の描写が気に入ったのなら、迷わず、「ダック・コール」!!

短編集ですが、それぞれに魅力的な鳥が出てきますよ。

特に、最後の、狩猟用の模型のカモを手放さない少年の話は、胸を打ちます。ラストシーンにはわたし感激しました。

最初の、コマーシャルを撮ることになったカメラマンの話もいいですね。

むしろ、「ソー・ザップ!」よりは、こちらを推薦したほうがよかったかな?

それはそれとして、お約束の。

ハヤ~(^^;)

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ポール・ブリッツさんへ 

おお!
今ちょうど、「ダックコール」のさわりを読み始めたところです。
「ソー・ザップ!」といっしょに(とりあえず)買ってみたんです。

では、これを読んでみましょう!
ハヤのような少年は出なさそうですが^^;(いえ、何でもありません)

・こっから鍵コメのコメ返^^

え、そうなんですか。あの先生ですか。
「ねらわれた学園」とかは、たしかドラマで見たような。
ジュブナイルというと、今でいうライトノベルですね。
その先駆者ですか。

いやあ、しかしそんなにポールさんが興奮するとは^^;
かえって申し訳なかったです。
人をそこまで引き付けるというのは、やっぱり持って生まれた才能でしょうか。
そこまで行くと、悔しいと言うより、崇拝してしまうもんなんですね。
私が高村先生を想うように・・・・。

NoTitle 

limeさんの嗜好を理解された方が奨められたと仰るので
どの様な本かと思いきやなんと野蛮な…(^-^;)
でもこのシンプルな設定は面白そうですね!

追伸・マンガイラスト、もうホントにソックリです。

蛇井さんへ 

はい。
内容を聞くと、とても野蛮な物語に聞こえますが・・・まあ、野蛮です(^^ゞ
でも、なんでしょうか、人間の中には狩猟本能というのが、確かにあるんだなと感じさせてくれます。

男の人には、たまらないんじゃないでしょうか。
危険な賭けや、銃器、そして鳥の好きな私には、ぴたりと来ました。(脳は半分以上男ですから^^;)
でも、重ねて言いますが、無意味に殺し合うバトルロワイヤルや、暴力モノは、大っきらいです。i-182
この物語にあるのは、ちょっと誤解を招きそうですが、ロマンと美意識です。


え?? マンガイラストが・・・誰に似てるって??ヾ(`ε´)
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