RIKU・5 天使の来ない夜

RIKU・5 第21話 温もり

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「どうして・・・君が」
喉が詰まってしまったのか、言葉の先が継げずに、秋山はリクを見た。
「助けてほしいって言ったでしょ。何度も、何度も」
リクは薄暗がりの中、秋山を安心させるようになるべく体を近づけ、代わりに声のトーンを落として喋った。

「俺は・・・」
「そう聞こえたんだ。だから何とかしたかった」
「・・・」
「ねえ、もう充分でしょ。今のでチャラだ。秋山さんは、さっきの男に充分罰を与えたよ。きっとあの男はすごく恐怖を味わった。それで終わらせよう? 秋山さんだって本当はこんな事したくないんだ。怖くて仕方なかった。だから僕にいろいろ話した。違う?」
「でも、俺は・・・」
「やらなきゃいけないって、間違った思いこみを育ててきただけなんだ、秋山さんは。それだけなんだよ」
「リク・・・」
秋山はリクの目を見つめたまま、力が抜けたようにヘナヘナとその場にへたり込んだ。

「終わると思うか? 俺は毎夜夢を見るんだ。血だらけのあの人にすがって泣く夢を見るんだ。いつだって俺は9歳のままで。いつだって俺はあの人が目を覚まし、もう一度俺を救いあげてくれるのを待ってるんだ。ずっと、ずっと、待ってばかりなんだ」
「終わるよ。もう秋山さんはすべて分かってるんだ。何も知らなかった子供じゃない。ひとりぼっちでもない」
「でも、・・・俺は狂ってる」
「それなら僕だって狂ってる」

秋山は目を見開き、暗がりの中、同じ高さにしゃがみ込んで話かけるリクを、じっと見つめてきた。
リクもしっかりその目を捉えて離さなかった。
秋山の目が次第に潤んで頼りなく揺れたが、その肩からはするりと力が抜け、素直な一つの人形になった。
リクがほんの少し微笑むと、秋山は顔を歪ませたまま、抱っこをせがむ子供のような仕草で、リクの方に両手を差し出してきた。
リクは近づいて、座り込んだままの秋山を正面からしっかり抱きしめてやった。

おぼろげだが、まだ4、5歳の自分を、生前の実母はこうやって抱きしめてくれたことがあったように思う。
消えてしまいそうな微かな記憶と温もりが、リクの心の底で、確かに支えになっていると感じる。
そんな記憶さえもない秋山をリクは抱きしめた。
愛されるべき人からの虐待で心の軸がずれてしまったのならば、誰が安易にこの人を責められるだろう。
終わればいいと思った。
この人を縛って歪める何かから、開放されて欲しいと心から思った。

「さて・・・と」
しばらくそうして秋山の体を抱きしめていたリクの後方から、長谷川の不機嫌そうな声が響いた。

「いつまでくっついてんだよ二人とも! 大の男が、きしょく悪いね! さあ、余興はお開きだ。帰るよ、リク」
秋山から体を離したリクがゆっくり立ち上がって長谷川のほうを向いた。
秋山はまだ電池の切れかかった人形のように、もぞもぞとリクと長谷川を見上げている。

「さっきの人は?」
リクが遠くの暗闇に目を凝らしながら長谷川に訊いた。男の姿はもう、どこにも見えない。
「ああ、ちょっと脅して開放してやった」
「・・・何したの?」
「殴っちゃいないよ。後ろから羽交い締めにしてさ、『25年前の悪さを誰も許しちゃいないよ。亡霊達があんたをいつだって見張ってる。久留須のようになりたくなけりゃ、せいぜい身辺に注意して暮らすんだね』・・・って言っただけだよ」
リクは、平然と言う長谷川を、唖然としてみつめた。

「残りの人生、戦々恐々なんじゃない?」
長谷川は大きな唇を引き延ばして、楽しそうに笑った。





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鍵コメMさんへ 

> 長谷川さんのほうが、玉ちゃんよりどう見ても強そうなのが悲しい。
> しかもたぶん、玉ちゃんより的確に事件を解決しそうだ。

ふははは。返す言葉もないです。

玉ちゃん。・・・あんた、必要無かったかもね・・・・(T_T)

でも、これからなんです。リクは、玉城を求めます。とんでもないことが始まります。

NoTitle 

長谷川さん・・・・・・脅しすぎです。
一歩間違うと、通り魔があなただと誤解されかねませんね。笑。

ヒロハルさんへ 

まあ、長谷川さんが羽白に顔を見られるなんてヘマはしないでしょうし、
リクもきっと、それを疑わないから質問をしなかったんでしょう。

羽白も、自分の過去の犯罪をすべて知ってて、恨んでいる人間がいると言う事実はメッチャ脅威なので、
警察に「通り魔に襲われた」なんて、120%言わないでしょうしね。

ここ、悩みどころですね。
読者の為に、そういう説明を入れないといけないかどうか・・・・。

でも、説明臭い会話にはしたくないし、私は要らないと判断してみました。
そして、次回、ほんの少しサポート的展開になります^^

NoTitle 

「抱き合って友情が芽生える」ですか。

「殴り合って友情が芽生える」のとなんの違いがリクらしくていい判断だったと思います。

今回の「霊」は、秋山に取り憑いていた妄執でしょうか。それとも?

次回以降の展開が楽しみです。あと2回で終わりということは、直後の「6」にそのまま続くのではないかと(そんなことが?)

ポール・ブリッツさんへ 

なんですか、なんですか、その打ち消し部分は~~。

秋山は半分子供なんで、よしよし、ってしてやるのが一番なんです^^;
(じつはすべて秋山の作戦でただ単にリクに抱いて欲しかっただけだったり・・・)

霊? 霊はいませんね~。秋山にも、霊なんてついていません。
ふふふふ。どこにいるかな~~~~~ψ(`∇´)ψ 

あ、よく気がつきましたね。(いや、たしか予告したような気が)
じつは、この「5」は「6」の導入部分です。
「5」と「6」は、セットになっています^^

NoTitle 

どさくさにまぎれて、抱き合ってますよね??>リクと秋山
長谷川さんの嫉妬メラメラ炎がみえそうです~(笑)

綾瀬さんへ 

うお~、どさくさにまぎれて、って言われてるよ~~リク。
まあ・・・・・・・・そう言われれば、そうかな?
だって、秋山が(´□`。)°

長谷川は実際、何を思ったんでしょうね。(訊くのも怖い)

NoTitle 

秋山を制したのは、リクの温もりを感じる抱擁
リクの可愛い上目遣いじゃなかった(笑)

なぬ、なぬ? [5]と[6]は、次章への布石!
し・しかも 玉ちゃんを 求める リクって!(つ∀<●)゚+.キャァ♪

どうすんのよ~玉ちゃん、求められちゃって♪(*・ω・*)ポッ

待てよ!? 今回 頑張った 長谷川は どうなんの?
まぁ いいけど・・・(いいのかっ!笑)

玉ちゃん→〇 ヽ(・ε・q`。)・゜・ホスィ...byebye☆

けいったんさんへ 

そう。秋山も、温もりがほしかったんですね。
そう思えば、リクと似てると言われても、仕方ないかも・・・。

けいったんさんの「上目遣い」と抱擁と、どこが違うのよと言われれば、「まあ、同じです」と言わざるを得ない展開ww
けいったんさん、おそるべし!

そう、「5」と「6」は、大きな一つの物語になります。
長谷川さん、がんばったのにねえ・・・「6」では、玉ちゃんの独り占めになります。
ん? 玉ちゃんが独り占めなのか、玉ちゃんを独り占めなのか・・・。どっちかな。

不気味な展開を見せる「6」にも、お付き合いくださいね^^
(あ!まだあと2話ありますから。「5」も)

共鳴したんですよね 

なんかこの抱擁シーン、みなさまにえらい言われ方をしているようで。
リクくんと秋山さんの幼児体験が、こうしていだき合って共鳴したんですよねぇ。うんうん。

それにしましても、みなさまの感想コメントを読ませてもらうのも楽しみです。

長谷川さん、やっぱり強い。
ほんとに下手したら、この女が通り魔だったのか?! と言われそうじゃなくもなく、ですよね。
これからまだとんでもないことが起こるんですか? 
なんだろなんだろ、リクくんが玉ちゃんを求めるようなこと?
玉ちゃん、出番ですよー、ではないのかな。
登場はしないんですよね、玉ちゃん。

あかねさんへ 

おお、あかねさん、よくぞこの抱擁シーンまで来てくださいました
(って、今までは全部マエ振りだったとか?)
ここまでは、ちょっとまどろっこしい展開でしたもんね(やっぱりここがメインか?)ww

> それにしましても、みなさまの感想コメントを読ませてもらうのも楽しみです。

えへへ。おもしろいでしょう?コメが。(コメが!)
ええもう、コメの方が本編より面白いのなんて、ざらです。

はい。長谷川さんは最強です。でも、この後分かると思うんですが、可愛いところもいっぱいあって、書いてて楽しいキャラです。^^

> これからまだとんでもないことが起こるんですか? 
> なんだろなんだろ、リクくんが玉ちゃんを求めるようなこと?
> 玉ちゃん、出番ですよー、ではないのかな。
> 登場はしないんですよね、玉ちゃん。

そう、あかねさんの↑、すべて当たってます。
このあとの最終話で、とんでもない事の幕が開きます。
そして、不安から、リクは玉城を求めます。
そして、玉ちゃんは、登場しないけれども、登場します!
最終話は、同時に「6」のプロローグでもあるのです^^

「6」は玉ちゃん、出まくりますよ~。
そして、とんでもない展開になります。

あ・・・まだ「5」は終わっていませんでしたね(汗
あと少し、読んでやってくださいね^^
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