KEEP OUT 3 君に伝えたいこと

KEEP OUT3 第7話 有力情報?

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「メイクは派手だけど、ちょっと暗い感じのする子でしょ? ほらぁ、ミツヒロといっしょに居た子じゃない?」
巻き毛の子は両隣の女の子達に確認を取ったが、その二人は覚えていないようで、首を傾げている。
「本当に? そのミツヒロって人、君の知り合い? 連絡とか取れる?」
春樹が勢いよく訊いてきたので巻き毛の子は少し困ったように表情を曇らせた。

「でも自信無いなあ。勘違いかもしんないし。それにミツヒロとはたまたまカフェで盛り上がって1、2回大勢でカラオケ行ったくらいで、良く知らないのよ。10日くらい前にチラッとその子によく似た子と歩いてるの見てさ。その子中学生くらいに見えたもんだから、ヤバくね?って思ってさ、なんか覚えてたんだ。特にミツヒロはタイプじゃないし、ホントはどうだって良かったんだ」
「ねえ、そのミツヒロって人の友達も知らない?」
春樹は相手がひかないように、なるべく穏やかに話をした。
3人はしばらく考え込んでいたが、何の情報も持っていないらしく、残念そうに首を横に振った。
春樹は落胆を隠し、もし何か思い出したら連絡をして欲しいと自分の携帯番号を渡し、礼を言って少女たちと別れた。

他人のそら似かもしれないが、今のところ唯一の手がかりだ。
まだ霞をつかむような感じだが、それまでの疲れと緊張がフッと軽くなる気がした。


「あれ? 春樹?」
不意に背後から声をかけられ振り向くと、ファーストフード店の特大コーラとハンバーガーを手に持った隆也が、店の入り口に立っていた。

「何やってんの? こんな所で」
隆也が再び不思議そうな声を出した。
「隆也こそ何やってんの? 予備校じゃなかった?」
「今日はな、パスしたんだ」
平然と言う隆也。
「それってサボったって事?」
「人聞きの悪い。あくまでペース管理だ」
「おばさんが知ったら何て言うかな」
サラリと言う春樹に隆也は慌てて走り寄り、コーラを持ったまま春樹の首に腕を巻き付けた。
「言ったら殺す」
「その前に、隆也がおばさんにボコボコにされるな」
春樹は笑いながら返したが、7分くらいまでシャツを腕まくりした隆也の肌が一瞬首に触れてきたので、ドキリとしてさり気なく体を離した。
けれどその一瞬ですでに、親友が今朝、母親と進学についての酷い口喧嘩をし、かなりムシャクシャしていることを感じ取ってしまった。
すぐにじゃれてくる隆也の傍にいると、こういう事故はたまに起こる。避けられない、不可抗力の事故。

「春樹は何? サボってゲーム?」
隆也の声にハッとして、春樹は我に帰った。

「まさか。仕事中だよ」
「なになに? 何かの調査?」
興味深げに目を輝かせ、隆也は訊いてくる。
「なんだよ。やくざな仕事だとか言ったくせに」
笑って返しながらも春樹は、自分の心の隅にいつもの黒い不安が漂っているのを感じていた。

・・・心を覗かれているのだと、この親友が知ったなら、どんな反応をするのだろう。

隆也はいつでも一点の曇り無く、春樹を大切な友人として想ってくれている。
時たま触れて、流れ込んでくる一瞬の感情は、春樹に関してはこの秋の空のように純粋に澄んでいた。
けれども当の春樹はそんな隆也にさえ、隠し事をしている。
隆也を傷つけるかもしれない、決して打ち明けられない秘密・・・。

「なあなあ。教えてよ」
「・・・そんなこと、教えられない」
春樹は静かに素っ気なく言うと、再び人混みに足を向けようとした。
「冷たいなあ。人捜しだろ? 俺も何か協力出来ない?」
「慣れない人がすると警戒されるんだ」
「そう言うもんかなあ。・・・わかった。じゃあ、ここで春樹の仕事っぷりを大人しく見とく」
隆也はニッと笑ってさっきまで女の子3人組が座っていたベンチに腰掛け、コーラのストローに口をつけた。

「そんなことして遊んでないで、それ食ったら予備校行けよ?」
春樹はどうにもしつこいその友人に思わず笑うと、再び仕事に取り掛かるべく、人ごみに足を向けた。
その友人の視線に、不思議なほど暖かなものを感じながら。


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~ Comment ~

NoTitle 

こうしてみると、春樹くんも美沙さんも、真夏の炎天下であろうと長袖長ズボンは欠かせませんなあ。

熱射病で倒れないことを祈るばかりであります。

春樹くんと美沙さんには、ぜひともアルフレッド・ベスターの「分解された男」の最終章でも読んでいただきたいものでありますが……。うむむ。

ポール・ブリッツさんへ 

いや、私も思いましたよ。
あんたら二人とも、完全防備しときなよ・・・って。(酷い作者)

すぐじゃれてくる隆也には、それが通じるでしょうねえ。

でも、男と女は、そんなことでは割り切れるはずもなく・・・。
この意味、お分かりでしょうか・・・i-229

「少年春樹」最終話のラストの美沙の嘆きは、じつはそこに向かっていたりしますi-201

NoTitle 

家出娘を探すって ほんと 大変そうですね。ドコo(・ε・*o)(o*・з・)oドコ

女の子は 化粧や服装で ガラっと 雰囲気も変わりますからねぇ~。
近所の女子高校生の子も 休みとなると お目目が 2.5倍になってますから!
before...(・・)→(✿✿)...after。。。な感じだよー!

心を読んでも 純粋な程に澄んでいる隆也、君って 希少価値な存在!
ずっと 春樹の友達でいて欲しいなぁ~d(・∀・)人(・∀・)b...byebye☆

けいったんさんへ 

本当に、見つかる確率低いらしいですょ。
まあ、よっぽどのことが無いと探偵に捜索依頼は出さないと思いますが・・・。
でも、警察もそんなに手を尽くしてくれませんしねえ。

そう、女の子って、なんであんなに変身しちゃうんでしょう。
もう近所の子に会っても、メイク後はきっと分からないぞ~。

>before...(・・)→(✿✿)...after。。。

ははは。これ、最高(^.^)↑

そう言えばこの前けいったんさんに、『春樹は親しくなった人には極力触れません』って書いたけど、
忘れてました!こんな事故も、たまには発生します(>_<)
一瞬だから、読みとる感情もちょびっとですけどね^^

隆也はウザいけど、どうやら春樹にとっても大切な存在らしいですe-267

NoTitle 

ほう。『ペース管理』とはなかなかいい言葉ですな。
これは使える。
私も明日は「ペース管理で仕事をパス」します!

NoTitle 

たくさんいる人の中から探すって言うのは
やっぱりむずかしいもんなんでしょうねぇ。
そりゃ日本だけで一億五千万人(?)ぐらいいるんですから。
探偵さんもお疲れ様すぎます。

ヒロハルさんへ 


18歳の屁理屈に共感しましたね? 笑

うん、私も使ってみよう・・・。

家事をパスwww

ねみさんへ 

難しいですよね~。日本は広い!

でも、見つけられなくても初動調査費用はもらえるわけで・・・。

あ、そんなこと言ったら美沙に怒られる・汗

NoTitle 

隆也には永遠知られたくないよね。
心を読まれるのって
やっぱり不気味だもの。

因果だよねぇ。

ぴゆうさんへ 

そうですよね~。(;_;)
知られたくないし、知りたくない。
サイコメトラーって、この世に本当にいたら、気の毒だなあって思います。
相当、強い心がいりますね。

NoTitle 

lime様、こんにちは♪

隆也、心の中を覗いても綺麗なままなんて、本当に春樹のことを大事に思っているのですね(´;ω;`)
春樹と美沙が抱える秘密を、もしも隆也が知り得るならば、きっと心強い味方になってくれるだろうに‥‥というのは、ちょっと買い被り過ぎでしょうか?
秘密に巻き込まれない立ち場であることが、このストーリー上での隆也という人物のメリットなのだろうとわかってはいるのですが、あと一人、二人、春樹と美沙に味方が欲しい気持ちです(汗)
何があっても信じられる、そんな相手‥‥。
感情移入しすぎてしまって、無理な方向につい妄想させてしまいますorz

リサ、見つかるといいですね。

土屋マルさんへ 

隆也って、本当に、単純明快な思考回路なんでしょうね^^;
天然記念物的!

まあ、春樹は、触れた人間の感情を全て読みとることはできないので、
隆也も隆也なりに、複雑な思いを抱えてるのかもしれないんですが。
春樹にとっては、本当にいい友人です。

隆也が、春樹の能力を知ることになるかどうか・・・は、今はシークレットですが、
私も、「どっちがいいのかな」と、すごく悩みました。

この物語を書いている時、とにかく3人の人物の気持ちになってシミュレーションを繰り返し、へとへとになりました^^;
春樹の気持ちになるのが一番つらかったんですが。

その結果、今後の展開が一番面白くなる方向に選択しました。
(本人の為とか、そういう事で考えてあげない私って、酷い作者!)
さて、どうなる事やら・・・。
どうか、見守ってやってください。

理沙ちゃんを見つける作業・・・。これがね・・・大変なのです><

次回、新たな準レギュラー、薫くんの登場です。(おっさんですが・汗)

その友人の視線に、不思議なほど暖かなものを感じながら 

↑ああ、そうなんだ…
と納得。春樹にとっての隆也の存在が。
ごく普通の友人。
それって、かけがえのないモノだなぁ、と。

やはり友情って良いなぁ(^^)

しかし、仕事の方は進まないね…


fateさんへ 

ほんと、仕事のほうは進まないですよね^^;

まあ、探偵の仕事なんて、なかなかそう簡単に解決しないんでしょうが。
・・・とか言ってるうちに、スコンと解決する可能性があるのが、
私の作品の乱暴なところ・・・なんですが。

隆也の視線に、ほっこりしてる場合じゃないよ~、春樹。
脇があまいのよ、あんたは・・・。(と、呟いてみる作者)

NoTitle 

limeさん。
こんにちは♪

いよいよ捜索開始ですね。
さやいちが思春期の時、さやいちマミーは、
『今日はどこで誰と遊んで何時に帰ってくるか』と細かく聞いてきました。
正直この年頃の子は、
そういう親の心配を干渉と受け取ってしまい、
うざったいと思ってしまいますよね?
さやいちもよくさやいちマミーに反抗したものです。
でも、親には内緒でやる色々な事の楽しさといったら、
こういっちゃなんですが、格別でしたね。
・・・って家出人の肩もっちゃったりして(笑)

隆也と春樹いいですね。
素直な友人がひとりでもいると、
後ろめたいと思ってても、春樹の心が和みそうですもの。


さやいちさんへ 

さやいちさん、こんにちは。

そうなんですよねえ。思春期は、親の言う事全てが鬱陶しくて、苛立ってしまいます。
今でこそ、それが親の愛情だとわかるんですが。

私も、酷く反抗して、親にひどい口をきいていました^^;
さやいちさんも、そうでしたよね。
(だって、家出しちゃうくらいですもん)
みんな、そうやって大人になって行くんですよね。

さて、この理沙もきっと、そんな子だったんでしょう。
だけど・・・・・・(お口チャック><)

>隆也と春樹いいですね。
素直な友人がひとりでもいると、
後ろめたいと思ってても、春樹の心が和みそうですもの。

ありがとうございます!
春樹、お仕事がんばっています。
でも、やっぱり、まだ18歳。不安もいっぱい。
隆也のような友人がいてくれて、きっと心強いとおもいます^^(たまにウザいけど)
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