☆感想(観劇・映画・小説)

(雑記)「黄金を抱いて翔べ」

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マイケル・ナーヴァの続編が(翻訳されていないという理由で)読めないという痛手から立ち直り、ようやく新たな作品へ・・・。
ヘンリー・リオスシリーズの続編は、今でも恋い焦がれますが、きっと悲しくて号泣してしまうだろうと予想し、
なんとか我慢しています。(なんとか)

昨夜読み終えたのは、いままで読んだことのなかった高村薫の「黄金を抱いて翔べ」です。




私の大好きなテリー・ホワイトのテイストに似てると教わったものですから。
読まないわけにはいきません!

【内容】(「BOOK」データベースより)
銀行本店の地下深く眠る6トンの金塊を奪取せよ。大阪の街でしたたかに生きる6人の男たちが企んだ、大胆不敵な金塊強奪計画。ハイテクを駆使した鉄壁の防御システムは、果して突破可能か?変電所が炎に包まれ、制御室は爆破され、世紀の奪取作戦の火蓋が切って落とされた。圧倒的な迫力と正確無比なディテイルで絶賛を浴びた著者のデビュー作。日本推理サスペンス大賞受賞。

高村薫が女性だとは写真を見るまで知りませんでした。
そして、読み始めて数ページ、「本当に女性?」と、信じられない思いでした。
それほど表現が男性的で重厚で硬質。機械や銃器、配線に対する説明、大阪の町並みの描写も含め、半端でなく緻密です。

けれど、読み進めて行くうちに、常軌を逸した執念で犯罪に突き進む6人の男たちの心理描写に、女性の持つ独特の微細な感覚が滲んでいるのに気付きました。
臭気を伴った排他的な孤独の中で、必死に救いを求めて手を伸ばしているような。

一言でいうと、鋭い刃物で切ってみると血を滴らせる鋼鉄。・・・という感じです。

あるときはとても冷徹で粗野で乱暴な言動、行動を取りながら、一方で、乙女心をくすぐるような純粋な言動にほっこりさせられたり。
彼らがぶつかる「死」と言うものには、驚くほど感情を排除した扱いで、ドラマチックに持っていくことを拒みます。
本来、死というものはそういうものであるんだと、心にしっくりきます。

だけどなんだか、いたるところに切ない、人恋しい官能を伴った心の放出があるんですよね。
予期しないところに、唐突に転がっています。

そして、いろんなものを失いながら、彼らがすべての計画を慣行し終えた後。
最終ページに漂うものは、爽快感とは違う、孤独でした。
けれど、しみ出すような温かみと切なさを伴った、孤独です。

闇の世界の手にぐっと掴まれてしまった男たちの、美学とも言える物語。

もう少し、この著者の作品に触れてみたいと思います。



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~ Comment ~

NoTitle 

面白かったですか? それじゃあ順番を飛ばして、いってみよう「リヴィエラを撃て」!

初期作品しか読んでいませんが、個人的には高村先生の最高傑作だと思います。

高村先生が合わない友人に貸したら、最初の十ページで疲れきったとかいわれて返ってきたいわくつきの作品でありますので、ちょっとためらっていたのですが……。

あのアイルランド人の若者はlimeさんの好みにぴったりだと思うんだけどなあ。

いや、「神の火」も「わが手に拳銃を」も「マークスの山」も面白いですけどね。わたしはいずれも初版ハードカバーで読みました。あのころは体力があったなあ。弁当箱みたいに分厚くて重いんだよなあの人の一冊本(笑)。

ポール・ブリッツさんへ 

ああ、それも読みたいなあ。
でも、初っ端から長編は・・・とおもって、「黄金を・・・」にしました。
確かな感触です!
今日、Amazonから、もう一冊届きました。
「李歐」です。
これは読みましたか?
なんだかあらすじにぞくっとして・・・。
まずは、こちらから読んでみます。


「リヴィエラを撃て」は、そのあとにぜひ!

「遠きに目ありて」も早く読みたいんですが。
欲望が多すぎて、困ってます。

NoTitle 

「李歐」は、そのもととなった「わが手に拳銃を」は昔読みました。ちなみに、「わが手に拳銃を」は、日本軍としてlimeさんにおすすめしようかと最後まで悩んだ本です。現物がないうえ、高村先生が改作して「李歐」にしてしまったので入手が難しいですので……。

前にもコメントしましたが、「李歐」は図書館にあったので借り出してきて取り掛かろうと思ったのですが、高村先生の小説、面白いことは面白いんですが、重苦しさもかなりのもので、肩がこって肩がこって(笑)。
結局10ページくらいしか読まないうちに返却期限が来て返してしまいました(汗)
齢は取りたくないものだのうふがふが、と、まるで老人みたいな気分になってしまったでありますとほほほ。(^^;)

今は秋沙さんおすすめの「ゴサインタン」を前ににらめっこしてます。けっこう厚いぞあの本も……(^^;)

NoTitle 

おおお。読んだのですね。
私もこれ、読んでみようっと。
たぶん、私が読んだただ一つの高村作品、「神の火」とちょっと似てますね。
すごくわかります。
女性が書いたとは思えないですよね。
誰だったかの名言で、「女は愛するものとの心中に憧れ、男は戦場での孤独な死を夢見る」とかいうのがありますが、「神の火」を読んでその言葉を思い出しました。
「男のロマン」なんでしょうかねぇ、こういうのって。

おっと。ポールさん、ゴサインタン、にらんでますか(笑)
あれも重いというか、じれったいというか、なんとも言えないお話です(^^;
limeさんもぜひ。
私ももう一度読んでみようかなぁ。うぅ、時間がほしいですね。体力も(^^;
今日は頭痛がひどくて、新作のタイトルが決まらなくて困ってます(関係ない)

ポール・ブリッツさんへ 

そうみたいですね。
「李歐」は、「わが手に拳銃を」の焼き直しだとか。
いったいどんな風に改訂したんでしょう。

ポールさんも断念した「李歐」、頑張って読んでみます。

思うに、高村先生の本は、全ての状況描写、説明、心理描写をすべて読み込もうとすると、
体力的にも精神的にもやられてしまいそうですね。
映画化した映像を見るように、自分なりに簡略化して取り込むと、いい具合に楽しめるような気がします。
滅入ってるときは、なかなか手に取りにくいハードな小説ですね。

「わが手に拳銃を」は、私好みでしたか?日本軍として・笑

「ゴサインタン」は秋沙さんおすすめでしたよね。
レビュー、読んで見よう。

秋沙さんへ 

「女は愛するものとの心中に憧れ、男は戦場での孤独な死を夢見る」
ああ、すごくわかります。
「黄金を・・・・」の主人公も、そんな感じでした。人間のいない土地に憧れる。
でも、決してロマンを求めるとかじゃなくて。
私はそういう孤独には耐えられそうにないです。
でも、本当に好きな人となら、死んだっていいかも・・・とか・笑
残念ながら、やっぱり女なんでしょうね。

頭痛、大丈夫ですか?
そんなときは読書も、タイトル決めも諦めて、寝てくださいね。
タイトルかぁ・・・・。
ずばっと核心をつくか、抽象的に包み込むか。
タイトルは、作品の顔ですから、悩みますよね。
一番楽しい作業でもあるんですが。
とにかく、今日は寝てくださいね。(^_^;)

NoTitle 

よし決めた。「ゴサインタン」は貸し出し期限が切れてしまったので明日図書館に返し、返す刀で「李歐」を借りてこよう。

limeさんと、どっちが早く読めるか競争だ(^^)

そのくらいの遊び心を持たないと、あの重苦しいどシリアスな世界で遭難してしまう(笑)。

それが終わったら、「ゴサインタン」をどちらが早く読めるか競争もやりたいですね(爆)

ポール・ブリッツさんへ 

え~~!
なぜ競争!笑
私が読むの遅いの、知ってるでしょーーー。

仕方ない。秘儀「お風呂でも読む」を繰り出しましょう。

よし、今日のうちにいっぱい読んどこう・笑

あ、そしたら、「わが手に拳銃を」との違いも訊けるわけですね?
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