RIKU・4 君の還る場所

RIKU・4 第4話 火種

 ←(雑記)究極の自己中・物理編 →RIKU・4 第5話 動き始めた暗雲
「リクなら分かるだろ? 昨日の夜さ、見たんだよ。ちょうど転がり落ちて気を失う前ぐらいに。きっとあれは殺された女性が俺に訴えてきた映像なんだと思うんだ」
「霊が、映像を?」
リクがいぶかるように声を潜めた。
「うん。自分が殺される瞬間の映像をさ、俺に見せるんだ。強烈だったんで病院で寝てる間、何度も夢に出てきたよ。それほどはっきりした映像だったんだ」
「夢なんじゃないの?」
「あんなはっきり他人が出てくる夢があるか? 犯人の顔だって、ちゃんと覚えてる。きっと何かの波長が合って、その女が俺に訴えて来たんだよ。なあ、どうしたらいいと思う?」
玉城はますます興奮気味に身を乗り出した。困惑ぎみのリク。

「・・・どうしたらって言われても」
「なあリク。俺さあ、犯人探ししてやろうと思うんだ」
「馬鹿じゃないの?」
「な! なんでだよ」
玉城は冷ややかなリクの言葉に声を荒げた。
「俺には分かるんだ。きっとあれは人知れず殺された女性なんだよ。無念で悔しくて、俺にその映像を見せてきたんだよ。こいつらなんだって。最近俺、霊感強くなってきてるだろ? 相手にもそれが分かるんだよ、きっと」
リクは冷静に玉城を見つめた。
「誰が信じるんだよ。随分昔のことかも分からないだろ? 犯人だって、もう捕まってるかもしれない。仮にその犯人らしい人を見つけたとして、どうするんだよ、玉ちゃん」
「それは・・・」
「あいつらはいい加減で嘘つきなんだ。いちいち振り回されてたら、これから先大変だよ。人が良すぎるのも大概にしないと」
リクは静かな口調でそう言った。
玉城は不満そうな表情で目の前の青年をじっと見つめる。
物心ついた頃からその厄介な連中に翻弄され、付き合い方を模索してきたこの青年は、しっかりと自分の立ち位置を確立している。
けれどもやはり玉城の中の正義感がそれを疎ましく感じた。

「冷たいよな。リクは」
玉城はポツリと言った。
リクがムッとしたような鋭い視線を向けてきたのを感じたが、玉城はあえて目を合わさずに席を立った。
「悪かった。忘れていいよ。自分で考えるから」
そう言い残すと玉城はまだ座っているリクに背を向けてラウンジを後にした。

相談しておいてあの言い草は無いなと自分でも思ったが、やはりリクの冷たさは気に入らなかった。
少しは考えてくれると思っていたのに。

先程まで心地よい明るさを提供してくれていた太陽がどんより蔭を纏いはじめた。
急に夕刻になったような薄暗さだ。
リクの機嫌を損ねるといつもこうだな。もう少し怒らせたら雨でも降ったのかもしれない。
自分自身冗談とも本気とも分からない事を思いながら、玉城はエレベーターに乗り込んだ。


「何の話だったんですか?」
静かにゆっくり背後から近づいてきた多恵が、リクの後ろまで来たところで大きな声を出した。
考え事をしていたリクがハッと驚いたように多恵を振り向く。
その表情さえ魅力的に思え、多恵はニンマリと口元を緩めた。

初めて玉城の部屋でリクを見たときから、多恵はこの青年の美しさに魅了されていた。
世間で持てはやされるイケメンの類とはべつの、凛とした神聖なものを感じる。
それはこの青年が持つ、人並みはずれた厄介な力のせいなのかもしれない。
自分にもほんの少しばかりある力。見るべきものでない者たちを見る力だ。

「いったいどうしちゃったんですかねえ、玉城先輩。さっきの話、本当だと思いますか? お酒に酔って、階段から落ちたって話。私の知る限り、泥酔するほどお酒を飲むような人じゃないんですよね」
こっそり後ろで二人の会話を聞いて真相は知っていた多恵だが、あえてとぼけてみた。
リクは、多恵がリクの霊力に気づいているのを知らないのだ。そのことが、多恵のいたずら心をくすぐる。
「さあ。どうなんだろうね」
興味無さそうにリクが言う。
「ねえ、リクさん知ってます?」
多恵は構わず話を続けた。

「玉城先輩、この頃霊とかよく見るらしいですよ」
「・・・」
リクが反応した。
「私にも、ほんの少し霊感あるから分かるんですけど、昔は全く彼、そんな力無かったんですよ。ここ1年くらいらしいですね、変なもの見るようになったのは。何ででしょうね。誰か、すっごく強い霊感の持ち主が身近に現れて、影響うけちゃった・・・とか」
「・・・え?」
「だとしたら、ちょっと可哀想。玉城先輩」

多恵はリクの正面に座ると、頬杖をついた。
少し青ざめて不安そうに見つめてくるリクの綺麗な瞳を覗き見て、多恵は続けた。

「やばいくらいに強くなってますね。先輩の霊感。危ないなあ~。いったい、誰のせいなんでしょうね」
窓から見える街路樹の緑が、無いはずの風にざわりと揺らいだ。

「じゃあ、長谷川さんに怒られないうちに私、仕事に戻りますね。またね、リクさん」
多恵は席を立つともう一度、目を伏せて黙り込んでいるリクに視線を落とす。
そして満足そうに口元をほころばせると、軽い足取りでラウンジを後にした。





----------------------------------
登場人物の霊感率、高!!

そこはなんとも、言い逃れできません(^^ゞ




関連記事


もくじ  3kaku_s_L.png 凍える星
もくじ  3kaku_s_L.png モザイクの月
もくじ  3kaku_s_L.png NOISE 
もくじ  3kaku_s_L.png RIKU
もくじ  3kaku_s_L.png RIKU・3 托卵
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【(雑記)究極の自己中・物理編】へ
  • 【RIKU・4 第5話 動き始めた暗雲】へ

~ Comment ~

NoTitle 

僕が以前、『この小説は―』でレビューした時に、菊池多恵のことを「玉城になついている妹キャラ」というふうに紹介したのですが……
小悪魔ですね、この子(笑
ナイーブなリクが少し可哀相に思えてしまいます。

P.S. 人気ブログランキング、2位への昇格、おめでとうございます。トップまであとひとつだ!(笑

本条さんへ 

そうですね。多恵は小悪魔キャラかもしれません。
「そのため」に生んだキャラ・・・のような気がします。
長谷川さんと近づけてみたらどうだろう、とか、いろいろ楽しめます。
基本、純粋な悪魔のはずです。めちゃくちゃ、まわりに迷惑ですが・笑
今回、リクが一番の被害者かも・・・。

あ、ありがとうございます。2位になってましたか!
これもひとえに、皆さんのおかげです。
本条さんも、いつも来てくださってありがとうございます(*´∀`*)

NoTitle 

多恵ちゃん、事態をあおりにあおっていますね~(^^)

玉城くんが気になるリクくんが哀れな感じ(笑)

しかし、霊視力って、伝染するものなんでしょうかねえ。

多恵ちゃんがノセているだけのような気も(笑)



リクと正反対の能力を持つ人を出しても面白いかもしれませんね。

「幽霊はいない! すべては科学現象で説明できる!」って強い信念の人で、その人の周りにいるとリクたちの霊視能力は妨害され、霊という霊はよってこず、運悪くその人の周りに来た弱い霊は消滅させられてしまうような人(笑)。

昔某TRPGに、そういう設定のキャラクターがいたのであります。相手の魔法攻撃は完全に封じられるけど、味方が魔法で援護しようとしてもこっちも封じられてしまう、という諸刃の剣(笑)

ナツカシス。

ポール・ブリッツさんへ 

本当にどうなんでしょうね。
霊力が伝染するなんて、あまり聞いたことないですよね。
でも、磁力は金属間で移動するから、あながち間違いではないかも・・・。
まあ、多恵ちゃんが「こう」と思ったら「こう」なんでしょう・笑

バシッと言われちゃうと、それが正しいような気になってくるのが、悲しい性。
可哀想なリク・・・。

リクと正反対な能力・笑
それは霊にとっても迷惑な話ですよね。
浄化じゃなくて消滅ですよね。恨まれそう・・・・。

でも、霊視力なんて、無かったら無かった方がいいような気がします。
最終回はその人に霊力を消してもらうかな? リク。

いや、終わらせない・笑

NoTitle 

最後のつけたしでちょっと嫌な事を思い出してしまいました。

友達の家に行ったのですがそこで沢山の霊を持って帰って
きてしまったときのことを思い出して

うあああ

ってなりました。
霊感全然ないのになぁ

ねみさんへ 

ははは。それは嫌な体験でしたね。

霊感があってもなくても、連れて帰ってくることあるみたいですね。
性格のいい霊だったらいいんですけどね・笑
その友達の家が、溜まり場だったんでしょうか。

霊感は いらないよ~ 

大人になって ましには なりましたが、小学生までは そこそこ あったんですよ、私!!

それこそ 人魂を 見た数は 数え切れない位に あったし、声も聞いたり  映像は 見たことは無いですが。
ただ 私自身は 「あぁ おばけだ。」と その頃は 怖がりもせず 何故か 淡々と 受け止めたてたけど... 今なら 驚愕モノですーーー!!

きっと 玉ちゃん(どっかの アザラシみたい)は きっと 犯人探しを 始めますよね。 だって ずっと 映像を見せられるし... プラス 正義感も あるから!

多恵は 態と 余計な 言葉で リクは 落ち込ませたけど 彼女の意図が はっきりしないなぁ~
もしかして 好きな子を 苛めたくなる "Sッ子"なのーー!!

limeさま、私の妄想は 加速するばかり (*^o^*;)...STOP!させて...byebye☆

けいったんさんへ 

おおお。けいったんさん、ありましたか! 子供の頃。
人魂ですか! それは怖い!
私も、じつは子供の頃は奇妙な体験ありました。
「声」って、聞こえるんですよね。何かが語りかけてくる。いつもお爺さんでした。
幻聴だったのかもしれないけど・・・。
その頃は怖いと思いませんでしたね。
でも、大人になってめちゃくちゃ怖がりになりました。
今、声が聞こえたら失神します! 霊感、いらないです(>_<)

多恵・・・女からは嫌われそうな子ですね・笑 (男からも?)
でも、かなり好きなキャラです)
けいったんさんの予想、するどいかも!

けいったんさんのお気持ち、すごく分かります ( ̄ー ̄)
けいったんさんのために、特別編を書きたい気分です(爆

1位になってますよ! 

気がついたら「DOOR」が人気ブログランキングで1位になってるじゃないですか!
ランキングサイトは不正が多いと言われている中で、地道に頑張っている良質サイトが正当な評価を受けるのは嬉しいかぎりです。
本当に、おめでとうございます!

うお~すげ~ほんとだ~ 

ほんとに1位ですよ! おめでとうございます!

まさにご人徳と小説の出来がもたらしたものですねえ。

本条さんへ 

ほんとだ~。
昼間、携帯からは見れないので、帰宅して見ました(*^_^*)
今だけかもしれないけど、1位ってうれしいですね。
本条さんはじめ、皆さんのおかげです。
ほんとうに、ありがとうございます。

ポール・ブリッツさんへ 

ほんとでした! 今みました。
つかの間かもしれないけど、やっぱり1位ってうれしいですね♪

応援してくださったみなさんに感謝!
私も恩返ししなきゃ。
ポールさんとこにも奇襲攻撃・笑

NoTitle 

多恵・・・策士じゃのう。
でもいい策士だから許しちゃうもんね。
普段はKYしているのに、変に鋭い奴なのかな。
いやいやKYがフリなんだな。
とてもおもろいキャラ。

RIKUもこうまで言われたら放っとくわけにもいかないよねぇ。
玉城がどんな奴と関わっているかだね。
死者は身体がない、魂だけだから思いは強くなるだけだと思う。
そんな霊と関わるのって厄介だし怖いね。

ぴゆうさんへ 

多恵、なかなか・・・でしょ?笑
ただのトラブルメーカーでもなさそうです。
このあとも、ちょくちょく、いいところで登場してくれるはずです。

さあ、玉城の話ですが・・・。

どうか、惑わされないでください^^
玉城の話を信用すると、後で苦労しますよ~。
みんな、それで惑わされちゃうんです。

リクはリクで、玉城のせいで苦悩しますし・・・。
今回のトラブルメーカーは、ほぼ、玉城ですね・笑

こんにちは^^ 

うわ、出た。
「トラブルメーカー・多恵」。

・・・・・・・・・・・・・・・
てか、この物語で一番トラブルメーカーなのは誰なんだろう??
(爆)

なかなか含みのある回ですね~v-411
色んな事が謎だらけ・伏線だらけ。
だからこそ面白いv-9

そうそうlimeさん!
今朝はありがとうございました~!
limeさんのコメントを読んで、即PC立ち上げて記念撮影しちゃいましたよ(笑)。
きっとすぐ落ちちゃうだろうけど、それでも1位になれたのは嬉しかったですv-290
いつも応援ありがとうございます!
またこれからも頑張りますね~~e-343

蘭さんへ 

は~い、出ました、トラブルメーカーww

そうなんです。今回、2大トラブルメーカーの出現です。
かわいそうなリク・・・。

謎な会話や、表現がいっぱい出てきますが、実はとてもシンプルな一本道です。
シンプルイズベストです。(横文字にしたっていっしょw)
いつもは玉城と一緒にオロオロするこのお話ですが、今回は、リクと一緒に戸惑ってやってくださいね。

そっか~、気付いて無かったんですね?蘭さん。
うれしいですね~。こんなに早く登りつめるなんて。
やっぱり蘭さんです♪
これからも、がんばりましょうね。
日曜なのに、来てくださってありがとう!

霊感かぁ… 

fateはないからなぁ…
あってもなくても、物語のネタにはしちゃうけど、ある人は大変みたいですな。
江原さん然り。
細胞同士で波動共鳴ってしちゃうから、霊感も、強い人がいると、素質のある人は感化されちゃうものなんでしょうな。
人間性の高い人と一緒にいるとやっぱりレベルは引きあげられると言うし、逆もあります。だから、付き合う人間は選ばないと。同じモノは惹きあって、朱に交われば赤くなり、類は友を呼ぶらしい。
だけどそれは、人間性のレベルの問題であって、大人が、我が子にあのこと付き合うのはよしなさい、の話しではない。
外見や肩書ではなくて、魂本質のことだから、一見難しいですね。
女の子って、やはり小悪魔が本質では?と思うので、女の子であるだけですべて許されます。
女の子の存在価値は、そこに存在していること!
贔屓だなぁ(^^)

fateさんへ 

まさか自分が、霊感を物語のモチーフにするとは、意外でした^^;

霊がどうのこうの、って騒ぐTVは、どうも不謹慎だし、霊能者もウソ臭いひと、沢山いますもんね。
でも、確かに霊は存在するし、霊感を持って、否応なしに交信してしまう人って、いると思います。
江原さんは、好きだなあ^^

私も霊感というものはありませんが、誰でも一つ、肉体とは別の「魂」というものを持っています。
fateさんがおっしゃるように、理屈ではなく、魂レベルで共鳴したりパワーアップしたり、
負の力を共有したり、するもんなのかもしれませんね。

リクの場合、どうも邪念系の霊にまとわりつかれて育ったらしく・・・。かわいそうに^^;
そんなわけで、リクは霊にとても慎重に接します。

さあ、ここでトラブルメーカー多恵ちゃん出動!
そう、この子はもう、小悪魔全開。やってくれます。
だけど、そうなんです。女の子は、そういう生き物。作者も多恵ちゃん、気に入っています^^
どうぞ、ごひいきに(*^-^*)


NoTitle 

多恵ちゃん…めんどうな子…(苦笑)

まあ私の男友達にも「俺は面倒な子が好き!!」という人がいるので、魅力的に映る人はいるかも?

ともあれ、リクと玉ちゃんの間をなるべく引っ掻き回さないでねー!?と。

でも多恵ちゃんが見事にミス・リードしてくれたお蔭で、玉ちゃんの力説する説は「ないな」と思うようになりました(笑)

あ、骨董屋更新してます…(コソッと)

有村司さんへ 

多恵ちゃん、厄介な子でしょう?
でも、この子が意外とダークホースで^^;

好き嫌いの分かれる子ではありますけどね。
彼女も玉城と同じ、トラブルメーカーなんですがね。

お騒がせ人間ばかりの「4」ですが、これから雲行きが怪しくなりますので、傘をお忘れなきよう・・。

骨董屋~~!待っててね~~^^

シンプルなのですね? 

ミステリというと二転三転どんでん返し。
そういうのは大好きなのですが、頭が悪くて推理能力ゼロですから、最初から犯人あてとかは放棄して読みます。
今回はシンプルに読ませていただいていいのですね?
ここまでのところは、シンプルにだったら意味は理解できているつもりです。

それにしても感想を書くのは下手でして、いつもlimeさんに書いていただけるようなコメントは書けません。
小説の上手な方はコメントも上手に書かれますよね。うらやましいです。

あかねさんへ 

RIKU・1は、わりと紆余曲折しましたが、この4は、シンプルです。

ただ、玉城の勘違いが、事をややこしくしているだけで・・・。
だから、「玉城は馬鹿なんだ」ということを頭に入れながら読んでみてください(笑

感想、私も本当にへたっぴなんですよ。
いつもピント外れなこと書いちゃうので、おはずかしいです。

コメントは、一行でもうれしいし、無くっても全然構わないので、気軽に遊びにきてくださいね^^

最終話で、まとめて感想をくださる方もいますし。
どうか、気になさらずにね^^
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

~ Trackback ~

トラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【(雑記)究極の自己中・物理編】へ
  • 【RIKU・4 第5話 動き始めた暗雲】へ