RIKU・4 君の還る場所

RIKU・4 第3話 思いがけない相談

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玉城の遅刻で時間をロスしたため、打ち合わせは大まかな段取りだけ急いで決められた。
美術誌『グリッド』に載せるリクの記事は、個展会場で撮った写真と新たに撮る絵の画像、そして玉城のコピーのみが使われることになった。
「前みたいにリクさんに密着取材しないんですかぁ? 私も参加したかったのになあ。ざ~んねん」
とボヤく多恵をひと睨みした後、長谷川は昼からの予定のため、その多恵を連れて退席した。
けれど立ち去る前、玉城に「またちゃんと話聞かせてもらうよ」と、付け加えるのも忘れない。
玉城は苦笑いして二人を見送った。

玉城の怪我の真相が酒のせいでは無い事くらい、あの人にはお見通しなんだろうと玉城は思った。
そして、ただの仕事仲間であるにも関わらず、そうやって気に掛けてくれる事も正直嬉しかった。
別に隠さなきゃいけない理由がある訳ではない。ただ問題はある。説明するのが難しい。

玉城はまだ憮然としてこちらを睨んでいるリクと、渋々目を合わせた。
この青年には逆に説明はいらない。
それはそれで、また問題だった。

「追いかけられたんだろ? 玉ちゃん。それで怪我したんだろ? どんどん力が強くなってる。今までみたいな人畜無害の浮遊霊じゃない、振り払えないほどタチの悪い連中に出会うこと、多くなったんじゃない?」
まるで責めるような目をしてリクは言った。
それはさっき嘘を付いたからなのか、それとも霊力が強くなってしまった事に対してなのか。
後者ならば自分のせいではない。玉城はほんの少しカチンと来た。

「長谷川さんに説明するの、面倒だろ? あの人の事だから絶対霊なんて信じないし。それにさ・・・だいたい、お前にそんな風に怒られる筋合いはないよ」
「怒ってなんかないよ」
「じゃあ、睨むなよ」
「睨んでなんかない」
「その言い方がもう・・・・・・」
リクに言い返そうとした瞬間、ぐらりと視界が回る感覚に捕らわれ、玉城は頭を抱えてテーブルに突っ伏した。
そしてしばらくそのまま黙り込む。
「どうしたの?」
青ざめてリクがテーブル越しに体を乗り出した。
「ん・・・落ちたときに頭打ったからかな。時々クラクラする。でも大丈夫だよ。ちゃんと病院で精密検査もしてもらって、退院のOKが出てるし。少しの間だけ記憶の混乱があるかもって言われたけど、どうってことないよ」
「・・・本当に?」
「本当だ」
「いったい、どんな状況だったの」
「まあ、簡単に言えば、強面の連中にいきなり追っかけられたんで、とにかく逃げて、神社の階段降りようとしたら、踏み外して転がり落ちて、気を失ってるところを運良く散歩中の人に階段の上から見つけて貰って病院に運ばれた、みたいな」
「・・・ひどい状況だね」
リクは笑っていいのか心配していいのか分からない表情を浮かべる。
玉城はニヤリとした。
「知ってるか? 頼みもしない検査いろいろ受けさせられたのにさ、全部請求されるんだぞ病院って。あんなヤクザな商売ないよな」
「なに言ってんだよ、助けて貰ったくせに」
今度はリクは可笑しそうに笑った。玉城も笑う。

“心配すると不機嫌になる”
玉城は今日、またもう一つリクの厄介な癖を発見した。

ため息をひとつ付き、玉城はぐるりと辺りを見回した。
昼下がりの大東和出版のラウンジは大きな窓を通して程良い光が取り込まれ、
いつも心地よい明るさを保っている。玉城の好きな時間であり、場所だった。
そして向かいにはやっと機嫌の直ったリクがいる。まるで狙い通りのシチュエイションではないか。

玉城には、前日から相談しようかどうしようか迷っていた事が一つだけあった。
切り出すにはちょうどいいタイミングだと思い、玉城は向かいの青年の方にぐっと体を乗り出した。
「なあ、リク」
「ん?」
「リクはさあ、例えば誰かに殺されてしまった人の霊に、犯人を捜して欲しいとか頼まれたらどうする?」
「・・・」
リクは大きな目をさらに丸くして玉城を見た。
玉城は続けた。
「だからな、こいつが犯人なんだ! って、そんな映像を見せて教えて来たら、どうやって助けてあげる?」

「・・・何の話?」
リクは真剣な目で質問してくる玉城を、困惑したように見つめた。



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~ Comment ~

霊がーー!! 

オォ 霊が 追いかけてくるんですか! いやだぁ~ c=c=c=「(:´o)」ハァハァハァ 逃げ切れないよ~
玉城は それで 怪我したんですねー

と言う事は ずっと 同じ霊に 追いかけられてたッーー!?

霊に追いかけれるのも 怖ろしいのに 犯人の映像を見せられる恐ろしさが プラスされ、そして 更に 探してくれって...  それって 探すまで その霊からは 逃れられないんでしょ!!

絶対に いやだぁ~  リアル鬼ごっこ (by映画)より 怖いかも...
(XoX)...byebye☆


けいったんさんへ 

ははは。リアルおにごっこより・・・笑
しかし玉城はけっこうキモが座ってますよね。リクの方が怖がりなんです、実は・笑

さて、面倒な相談されちゃいましたが。
玉城の言ったことすべてが、正しいのかは、・・・・まだわかりませんよ? ふふ。
とにかくね、勝手に話をややこしくしちゃってるんです。玉ちゃん。

いつも楽しいコメント、ありがとう♪

NoTitle 

病院で霊というと、身体が宙にういたり、首がぐるぐる回ったり、変な液体を吐いたりというイメージが……(それは霊ではなく、悪魔じゃー!! ←ひとりツッコミ)

しかし玉城くん。霊がいかに頼んで身体を操って命令したからといっても、人殺しだけはいかんぞ人殺しだけは。

と釘をさしておく(^^)

ポール・ブリッツさんへ 

そう、それはたしかエクソシストで見た・・・。笑
霊は現実的で、悪魔は非現実・・・なんていうのも、人間の勝手な定義ですよね。
人の心が作り上げる点では、同じ物かもしれません。
(私的に「霊」というものは、疑いながら信じてる感じです)

さあ、玉城の猪突猛進な性格が出てきました。
誰かを助けるためには手段を選ばない人だったら・・・どうしよう。
人殺しはしないように言っておかなければ(^_^;)

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鍵コメRさんへ 

Rさんもですか・笑
わたしもエクソシストは、目をつぶりながら見てました。
今でもホラーは苦手で、みれません。昔より恐がりになりました。
さあ、玉城はどうするんでしょうね。

あっちの方、さっき送っておきました。どうかなあ・・・。

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NoTitle 

確かに何かを意識した瞬間ぞわっと気配を感じる。
そういうことある気がします。

お風呂で頭洗っているときとか・・・
顔を石鹸で洗っているときとか・・・

目という情報収集器官の働きを妨害されたことにより
耳などの器官の働きが強くなるためでしょうか。

ねみさんへ 

科学的に証明されていない物に対しての恐怖でしょうかね。
それとも、やはり人間には「霊」を感じる感覚があるんでしょうか。

やっぱり、暗闇は訳もなく怖いですよね。
視覚が奪われたとき、その感覚が研ぎ澄まされるってこと、あるかもしれません。

・・・って。これからの展開は、ねみさんや皆さんをきっと裏切るなあ・・・。

しっかりしてよ、玉ちゃん・笑

NoTitle 

幽霊ですかー。
科学と言う新しい宗教によって淘汰されつつも、やはり知覚できない何かもきっとあると信じてみたいですよね。
面白おかしいよくわからない存在が突如発見されたりしないかな、なんて思います。笑

何はともあれ、幽霊に張り付かれてしまった玉城さんの今後が気になりますね^^

ふるやのもりさんへ 

いらっしゃい♪
霊を扱うって微妙ですね。
絶対無いとは言い切れないけれど、ある意味ファンタジーの分類になってしまう。
でも、たまにはこういう分野を描くのも、いいですよね。

もしよろしかったら、玉城とリクのその後を見守ってやってください。

NoTitle 

幽霊って面白いですよね。
人間には第6感があって、それが反応して幽霊に反応する…というのが科学的に検証されてきていますよね。たとえば、トンネルや墓場みたいな場所は特殊な地場が形成されているらしいですね。大理石から特殊な電波?みたいなものが出されているらしいです。
だから墓場が気持ち悪いというのは、人間の中に内在する第6感が反応して…という話ですね。
どうも、LadnMです。
場末でファンタジー小説を書かせていただいております。
何度も寄らせていはいただいているのですが、なかなかこれずに申し訳ありませんでした。また寄らせていただきますね。

LandMさんへ 

いらっしゃいませ。
コメントとっても嬉しいです。

霊感や霊に関しては、科学的な知識をもって対応したいと思っているんですが、
小説では少しばかり自分流にその世界観をアレンジしてみました。

LandMさんの書かれてる霊感に関する記述、とても納得できます。
霊や霊感は確かに存在するけれど、一般人に把握できない分、詐欺的な行為に使われやすいのが残念ですね。
見極める力を持ちたいと思います。

LandMさんのところへは何度かこっそりお邪魔させて頂いたと思います。
また、ゆっくり遊びに行かせていただきますね。
コメントありがとうございました。

こんばんは^^ 

おおっ!?
何だ何だ!?
玉ちゃん、そんなに霊感が強くなって行ってるんですか??
もしかしてそれって・・・半分はリクのせいじゃ・・・・・・・・・・・・

って、そんな「○○のせい」とか思っちゃいけませんね^^;

でも、何の事件に巻き込まれてるの?玉ちゃん・・・・。
また次読みに来ますねv-222

蘭さんへ 

そうなんです。
玉ちゃん、リクもびっくりするぐらい霊感が強くなっちゃって。

そして、するどい!
「もしかしたら、リクのせい?」・・・っていうのが、この物語の根底にある一つのポイントです。

これから玉城が関わる事件。
ちょっとややこしくて、誤解を与えてしまうかもしれませんが、
コメントとか読んでもらえると、分かって来ると思うんです。
(いいのか、そんな小説で!!)

ますますウザい玉城と、健気なリクをお届けします~。
ややこしいけど、どうぞよろしく^^
あ、のんびりね♪

霊感かあ・・・ 

なんだか聞いた話だと、霊感が強い人のそばにいると、移る、もしくはそうでもない人も(霊感が)強くなる。そうですね。

「托卵」で厄介なものを託された玉ちゃん、そのせいでこんなことになってるのかな…?

あ、骨董屋今日も更新してます(笑)

有村司さんへ 

> なんだか聞いた話だと、霊感が強い人のそばにいると、移る、もしくはそうでもない人も(霊感が)強くなる。そうですね。

お、やっぱりそんな話、聞いたことありますか。
これはきっとそうなんだと思います。霊はなんとなく、電磁波もしくは電波に似てるような気がするんです。
受信する側とされる側のチャンネルなんだと思います。
原理が磁石なら、磁力が移ることもおおいにありうる・・・と、そんな気がします(根拠はないですが^^)

でも、この「4」は、ご注意。
「霊感」にスポットを当てすぎると、騙されちゃいます。玉城みたいにね^^
玉城の話は、話半分で聞いていた方がいいかもです♪

お!骨董屋!待っててね^^



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