☆感想(観劇・映画・小説)

(雑記)『真夜中の相棒』 ああ、なんというラスト(後編)

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ついに・・・ついにたった今、読み終えました。「真夜中の相棒」。
4時間、息つく間もなく、ただひたすら体を緊張させながら読みました。
(今日が休日で本当によかった)

もう・・・なんだって、このお話は終わらなければならなかったんでしょう(´_`。)
終わらなくたっていいのに。
あの優しいジョニーと、ジョニーを唯一理解し愛したマックの、二人の何気ない会話を永遠に聞いていたい。
あまりにも辛辣でせつなくて苦しくて受け入れられない結末に、腹立たしいほどです。
・・・はあ。ちょっと泣き過ぎました。
後半、第2部からのあらすじです。
※もしかしたら、すこしネタバレがあるかもしれません。

【あらすじ・第2部】
物語の冒頭で、ジョニーは計画にない人物を一人殺してしまった。
殺されたのは潜入捜査の警察官であり、彼には相棒がいた。
相棒の名はサイモン。
彼は犯人を憎み、仕事も、家族も、平常心も、すべてを捨てて、憎むべき殺人者(ジョニー)を追い求めた。

そう。第2部は、ジョニーによって相棒を殺されてしまったサイモンの物語。
彼も本当に哀れな男で・・・。
もう、ボロボロになりながらジョニー達を追います。

ああ、ちがう、ジョニーはあなたが思う凶悪犯じゃない。
心優しい青年なの。と、心で唱えながらも、
私はサイモンが少しずつすこしずつ、ジョニーとマックに近づいて行くのをワクワクしながら見ていました。
(Sですか!)

そして・・・第3部で・・・思いもよらぬ展開。
第3部ではまたジョニーとマックの何ともいえず、愛情に満ちたやり取りが展開。
(う、うれしい)
そして、友情を超えたマックの感情が、物語をさらに切ない展開に導きます。
一方、相棒を殺した殺人者を追い求めているはずのサイモンの心に、変化が・・・・。

もおおおおお。
なんで?なんで、なんで?
最後数ページを残し起こった展開に号泣しました。本を読みながらこんなに泣いたのは初めてです。
なんていうんでしょう。
読み終わった後残るのは、儚く切ない悲しさではなく、もう、腹立たしいほどの孤独なんです。
突き抜けた悲劇。

時間をもどして。 時間を・・・・。

もう、かなりな放心状態です。

最後に・・・
この作者、テリー・ホワイトの表現力はすごいです。
女流作家だと説明されなければ絶対分からないほど、男性的な骨太な文章。殺伐として孤独な男の社会の描き方はすさまじいです。
けれども、人々の心理描写の細やかさ、巧みさ。これはまさに女性の持つ繊細さを感じます。
ワンセンテンスの長い、独特な文章ですが、読みにくさは全く感じません。
すべてが驚くほど自然に鮮やかにリアリティをもって、心に沁み入ってきます。
これは反則かもしれませんが、一説だけ抜き出してみます。

『ジョニーは泳ぎの名手で、とくになだれを打って崩れてくる大波に完全に呑みこまれながら戯れるのが好きだった。そんなことが起こるたびに、水が大嫌いなマックは自分が息を詰めていることも気づかずに、濡れた金髪の頭が太陽の下で金色に輝きながらふたたび現れるまで心配そうに見守った。』

何気ない、こんな描写がとてもいい。
文章の感じも翻訳ものの味わいが出てて私は好きです。

1ページごとに緊張させ、安堵させ、愛しさにたまらない気分にさせ、最後はどうしようもない悲劇に胸を苦しくさせる。
この小説は間違いなく私の記憶から消えない、特別な1冊になりました。
私にこの小説を進めてくれたポールさんに感謝です。

[追記]
どうしようもない喪失感から抜け出せず、ちょっと調べ回っていたところ、
これを原作にした映画が作られていたことがわかりました。
タイトルは 『天使が隣で眠る夜』

レビューを読むと、設定はずいぶん違えど、雰囲気はそのままらしく。
探してみます。
気持ちを静めるために・・。

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(2006/03/25)
ジャン=ルイ・トランティニャンマチュー・カソヴィッツ

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~ Comment ~

NoTitle 

お疲れ様でした!なにはともあれlimeさんにとって素敵な作品だったようですね。
僕も熱中して読んでいた小説のラストに『何でこうなるかなぁ…』という切ない思いにさせられた事があります。

それから数日は仕事中だろうが何だろうが『何で?何で?』に支配されていたのですが、
ある日突然『いや、アレで良かったのかも…?』と思える様になったのです。
本当にそう思ったのか、それとも強引に自己解決させてしまったのか…?
とにかく良い作品は読み終わった後もそのパワーを放ち続けますよね。

蛇井さんへ 

まさにそうなんですよ。
そのパワーはすごいですね。
今、もう一度読み直していました。
ラストが変わるわけでは無いのにね・笑

蛇井さんもそんな作品に何度か出会ったんですね。
これは後を引きますね。
漫画ではけっこうあったんですが、小説で珍しいです。
改めて小説ってすごいなーーーってかんじました。

そかし、この喪失感が抜けないと、自分の作品に取りかかれそうもありません。
作者のテリー・ホワイトさんに、続編を書いて貰いたいです!
もう少し救いのあるラスト。
山のようにドル札を積んで。

NoTitle 

ちょっとお教えして後悔しています。

小説を書く上でインスパイアされるところがあったらな、という、いささか軽い気持ちで熱く紹介したわけですが(矛盾しているようですがミステリ好きってこんなもんです)、まさかここまでlimeさんに深刻な喪失感をもたらすとは。

limeさんの小説執筆がとどこおってしまったら責任問題ですからね。

その点はすみません(ぺこり)。

しかし、最後のシーンを明かすことはミステリファンとしてできませんでしたから、limeさんを悲しませないのは難しかったかもしれません。

自分をジョニーに投影するのもいい。

自分をマックに投影するのもいい。

しかし、人生の重大な地点において、この小説を読んだものは、「おれはサイモンなんだ! おれはサイモン以外の何者でもないんだ!」と悟る日が来るのではないでしょうか。

この小説の、突き抜けたような残酷なラストシーンは、読者にそう伝えていたのではないかと思っています。

ところで、映画も注文したんですか?

この映画は見たことがないんですが……。面白いのかしらん。ヨーロッパ映画だとか聞いたので、ラストシーンはもしかしたらより暗いものになるかと……。

ちなみに邦訳リストらしいです。そうとうな寡作家みたいです。
今生きていれば64歳ですから、新作は難しいかなあ……?
http://homepage1.nifty.com/ta/sfw/white_t2.htm

ポール・ブリッツさんへ 

何と言いましょうか、私自身、こんなに喪失感に陥るとは思っていませんでした。
(で、でもポールさんには感謝です)
ラストが悲劇になるというのは分かっていましたが、これは単純に「敵討ちが成立する」とかいう、陳腐なものでなく、
人間の孤独ゆえの欲望がもたらした惨劇ですね。
ラストよりもあのエピローグの、太陽の眩しいメキシコでのシーンが、胸に染みます。
哀れな彼は、きっと更なる孤独に苛まれるんでしょう。気が狂うほどの。

映画は「つたや」で探してみます。
そして、Tホワイトの著書、新たに2冊購入しました・笑
でも、きっとどれも、本作を越えることはないでしょう。

さあ! がんばって次の作品書かなきゃ・・・・。文体が変わってたりして(^_^;)


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