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【  2010年03月  】 

ラビット 第5話 夢のつづき(6)

第5話 夢のつづき

2010.03.31 (Wed)

 それから小一時間経っただろうか。宇佐美の言葉で更に沈み込んでいた稲葉だったが、地獄に仏というべきか、天井の小窓から丸い月が顔を覗かせはじめた。ほんの微かだが、やんわりと部屋の内部の小物達に輪郭が戻ってきた。「ああ、もう、びくともしない!このドア。壁はコンクリートだから隙間も作れませんよ」稲葉は今がチャンスとばかりに、微かな月明かりを頼りに壁に貼り付いて脱出方法を探っていた。「隙間を見つけてスプーン...全文を読む

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(雑記)「パコと魔法の絵本」。

☆感想(観劇・映画・小説)

2010.03.30 (Tue)

 パコと魔法の絵本 通常版 [DVD](2009/03/06)役所広司アヤカ・ウィルソン商品詳細を見るずっと見たいと思ってたら、昨日地上波でやってくれました。これにはやられました。ドライな私が。爆裂的コメディーにも関わらず中盤で涙がポロポロ。このお話は映画を観る前から知っていました。2年前に舞台で観たんです。G2プロデュース『MIDSUMMER CAROL ガマ王子VSザリガニ魔人』こんなに泣けるのは、その世界観を知っているからかもし...全文を読む

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ラビット 第5話 夢のつづき(5)

第5話 夢のつづき

2010.03.27 (Sat)

 小窓からの太陽光はどんどん力を弱め、猫も、猫を抱く宇佐美の姿も次第に闇に溶けていこうとしている。「暗くなってきましたね、宇佐美さん。これ、真っ暗になったら僕、発狂するかもしれません」少し落ち着きを取り戻しながら稲葉は、半分ジョーダン、半分本気のつぶやきを漏らした。「それは困るな。朝まで頑張ってくれよ」面白そうに笑いながら宇佐美は猫を抱えたまま壁際に腰を下ろした。緩い臨戦態勢に入ったのだろうか。稲葉...全文を読む

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(雑記)んん? ツイッター初心者

未分類

2010.03.24 (Wed)

 さっき、ちょいと登録してみたんですが、まだよくわかってません・笑でかいスクランブル交差点に投げ出された感じで。そういえばmixiを初めてはじめた時に似てます。今ではすっかりmixiも遊び場になってますが。ううん、誰が誰にコメしてるのか、自分は誰につぶやくのか。こうやって電波のように言葉が飛び交うんですね。拾って食べて、飛んでるのを眺めて。人はやっぱり寂しがりなんだなあって思います。何かでつながってたいんで...全文を読む

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ラビット 第5話 夢のつづき(4)

第5話 夢のつづき

2010.03.24 (Wed)

 稲葉は汗ばむ手で、ポケットを探った。けれどさっきまでジャケットのポケットに入れておいた携帯がない。途端に口をつぐんで青ざめる。「稲葉? 携帯落とした?」茶化すように覗き込む宇佐美。「はい。たぶんさっきマンホールの所で・・。宇佐美さん持ってますよね? 誰かに連絡して助けてもらいましょうよ。李々子さんがいてくれたらなあ。こんな時に旅行に行っちゃうなんて、ついてないですよね」稲葉は心底残念そうにため息を...全文を読む

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ラビット 第5話 夢のつづき(3)

第5話 夢のつづき

2010.03.20 (Sat)

 「やっぱりお化け屋敷だなあ、この家は」夕日が赤く染める真壁邸の外壁には、黒っぽいツタがびっしりはびこり、まるで毛細血管のようだった。猫探しのため敷地内に乗り込んだ稲葉は、見上げてブルッと身震いする。ホラー映画や怪談話は大嫌いだった。真壁老人は今朝から「時間旅行」とやらに出かけたが、勝手に猫の捜索をしていいということで、宇佐美と稲葉は夕刻から屋敷の周辺を探し回っていた。しかし猫なんてものは行動がつか...全文を読む

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ラビット 第5話 夢のつづき(2)

第5話 夢のつづき

2010.03.16 (Tue)

 「え? あのお化け屋敷の主人なんですか? 真壁さんって」老人が帰った後、依頼の詳細を聞いた稲葉は中学生のような反応をした。「知ってるの? シロちゃん」李々子がお茶の飛び散ったテーブルを拭きながら稲葉を見た。「あの地域では有名でしたよ。僕の通っていた小中学校の校区内でしたから。あの当時ですら廃墟のように古びてたんだから、今は本当にお化け屋敷なんじゃないかな」「ちゃんと真壁さん住んでるんだから失礼だよ...全文を読む

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(雑記)宇宙に思いを馳せる

☆イラスト・マンガ・水彩画

2010.03.14 (Sun)

 「宇宙には果てがない。それってどういうことなんだろう」小学生の頃、それを考えて眠れなくなった夜がありました。占いや怖い話も、それなりにたしなんではいましたが(笑)もっぱらそんな、想像を超える不思議な現実に思いを馳せるのが好きでした。果てがないなら、その向こうはなに?宇宙が今137億歳なら、その前はなに?そりゃあ、小学生には想像も及ばない世界です。知らないということは、ワクワクすると共に恐ろしいこと...全文を読む

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ラビット 第5話 夢のつづき(1) 

第5話 夢のつづき

2010.03.13 (Sat)

 太陽は日没に向かって赤く膨張を始めていた。まるでホラー映画のセットのように黒く浮かび上がる洋館の脇で、小さくうごめく人影が二つ。「ほら、もう少し。がんばって!」赤い野球帽を被った少年がもう一人の坊主頭の少年の手を掴み、マンホールの穴から引っ張り上げた。学校帰りなのか、脇に黒いランドセルが転がっている。「偽物のマンホールだったね、この穴。屋敷の地下に繋がってるなんて。外から部屋に入れるけど、別の誰か...全文を読む

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白昼夢 第6話 追憶(3)

第6話 追憶

2010.03.10 (Wed)

 ひんやりとした感触を額に感じて坂木は目を開けた。「ごめんね、寝てた?」陽が氷嚢を作ってくれているほんの少しの間、坂木は昔の夢を見ていたようだ。「ああ、悪いな」「医者に行った方がいいんじゃない? 付いて行こうか?」「行かないよ。医者は性に合わない。余計具合が悪くなっちまう」「・・・しょうがないな」少し呆れたように笑う陽を、坂木はぼんやり見つめた。昔の夢を見たせいだろうか。この何でもない時間が何とも言...全文を読む

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白昼夢 第6話 追憶(2)

第6話 追憶

2010.03.07 (Sun)

 15年前。その頃のOEAの訓練施設には男女十数人の年齢の違う子供達が「成人」の時を待って教育を受けていた。一般的に身につけるべき学問、そして“仕事”に必要な特殊訓練。そこにいるのはそれぞれの事情をかかえ「外」の世界では生きていけない子供達だった。当時施設の管理部のチーフをしていた辰巳に坂木は陽を託した。あどけなさの残る11歳の陽は、まだその頃本名で呼ばれていたが、その名を坂木はもう覚えていない。辰巳と...全文を読む

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白昼夢 第6話 追憶(1)

第6話 追憶

2010.03.04 (Thu)

 2日ほど前から坂木と陽が泊まっているのは、OEA本部に程近い静かな場所にあるホテルだった。坂木はひっそりとした隠れ家的なこのホテルが気に入っていて、本部から招集がかけられたときでも大抵そこを利用している。昨夜から体調を崩していた坂木を心配してか、陽はどこへも行かずに、この日はホテルの部屋で本を読んでいた。二人を訪ねて、何の連絡もなく辰巳が部屋にやってきたのはその日の午後だった。「本部の部屋の方がここ...全文を読む

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(雑記)孤独。サクラという花。

未分類

2010.03.02 (Tue)

 『花の下では風がないのにゴウゴウ風がいっているような気がしました。そのくせ風がちっともなく、一つも物音がありません。自分の姿と跫音(あしおと)ばかりで、それがひっそり冷めたいそして動かない風の中につつまれていました。花びらがぼそぼそ散るように魂が散っていのちがだんだん衰えて行くように思われます』                        ---坂口安吾『桜の森の満開の下』より抜粋---私...全文を読む

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白昼夢 第5話 サクラ(3)

第5話 サクラ

2010.03.01 (Mon)

 その日の深夜。いつまでも黙りこくってソファに座っている陽を気にかけながら、坂木は読みたくもない雑誌の活字を眺めていた。何を考えているのか聞き出せる雰囲気でもない。「眠れないのか?」そう問いかけても、返事もしない。「・・・なんだかなぁ。反抗期の息子を持った父親の気分なんだよな~」少し大げさに坂木がため息をつくと、陽はやっと少しだけ笑ってみせた。「先に寝ていいよ、坂木さん」その時ドアのベルが鳴った。「...全文を読む

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